二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*NEW:天国の天使 ( No.582 )
- 日時: 2012/05/07 15:35
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
第63話 悪魔を破れ!!
橘「剣城君っ!」
雷門の得点に沸く会場。橘は得点した剣城のもとへ駆け寄った。
はいっ、と右手を剣城の顔の前に出すが、彼はそれに応える性格ではない。その態度に顔をしかめて、橘はその手を彼の頭に置く。
剣城「!」
橘「ナイッシューだったよっ♪」
にっこりと微笑んで。
剣城はくしゃくしゃにされた頭を直しながらも、肩をすくめて少しだけ笑顔を浮かべた。
天馬「俺もーっ!」
剣城「もうやるな。」
橘「皆、あと1点だよ!」
西園「あ…ねえ、キーパー変わるみたい。」
西園の言葉に、3人は帝国のゴールを振り返る。すると、さっきまでFWだった御門がキーパーグローブをはめていた。
天馬と剣城が眉をひそめる中、橘は目を見開く。ポジションチェンジが何を意味するのか、答えが一瞬にして導き出された。
橘「…はぁぁ!!?」
全員「!?」
橘「……あ、ごめんなさい!」
大声に全員の視線が集中していた。恥ずかしさで顔に血が上る。
そしてその怒りをぶつける様に、御門をにらむ。悪魔は人間と別格の強さを持っている、つまり得点し辛くなるという事。
橘(まさか試合に勝てって言われたの?でも悪魔がそんな事…)
天馬「美咲、どうかした?」
西園(赤くなったり難しい顔したり‥おもしろい人!)
橘「ううん…」
どうしよう、と考えを巡らせる。もう1度ヘブンズエンジェルを打って得点できるかどうか、不安があった。
どうしたら威力のあるシュートを悪魔に向かって打てるか。浮かんだ方法は、1つ。辺りを見渡して、剣城にも手招きする。
橘「剣城君、天馬君、あたしがシュートしたら…」
剣城・天馬「!」
**
「残り時間はあとわずか!波に乗っている雷門、次の得点が試合を決めるーっ!!!」
何か熱の入った実況だなぁ…人間界ではこれが普通なの?
確かに、雷門は試合が再開してから調子が良い。それは悪魔がキーパーに移ったからっていうだけじゃない。
キャプテンはプレストターンっていうドリブル技を編み出したし、中盤が上手くいってるおかげでDF陣は暇だったりする。
そして6が…天馬君がボールをキープしてゴール前!
天馬「マッハウィンドっ!!」
水鳥「よっしゃ!これで追い越しだーっ!!」
…それは、どうだろね?
キーパーの目が赤く光る、そして背中から上る黒い気が悪魔を形作った——。
御門(?)「悪魔ナンバーナイン!」
橘「!ナイン…9?」
ナンバー…確か、ランクが下の方の悪魔にまとめて付けられる数字だってソフィアが…。
あ、そっか。悪魔は人間に乗り移ったら自らの姿を現す事が出来るんだよね。サッカー界の化身と同じ感じで。
つまりあの化身は本物の悪魔って事。ナンバー9なら希望がある!!
天馬「なッ…!!」
神童「さっきと違う化身!?」
霧野「確か…万能坂にも似たような化身が居た気が…。」
ビックリするよねー、さっきと化身違うんだもん。
悪魔はマッハウィンドを止めた。でも…少し押されてた。
これなら…これならいける!!
**
〜霧野SIDE
さっきまでFWだった化身使いが、GKになったら別の化身を出してシュートを止めた。
こんなの…アリなのか?
剣城も驚いていた。フィフスセクターのシードだった剣城があんなに驚くなら、これは相当の事なんじゃ…。
音無「え、円堂監督!!」
音無先生の焦った声に顔を上げると、フィールドでは異変が起きていた。
帝国の選手が、全員サイドによっている。
雷門全「!!」
橘「…何のつもり!?」
橘が近くにいる帝国選手に何か言っている姿が見えた。だけど相手はすました態度でかわしている。
何だか…胸騒ぎがする。
御門(?)「食らえっ!!」
キーパーのゴールキック……まさか!!!
霧野「皆っ!…!!」
立ち上がったため、足首に痛みが走る。
歯を食いしばって顔を上げると、御門の蹴ったボールに吹き飛ばされる雷門のユニフォームが見えた。
**
〜橘SIDE
悪魔が蹴ったボールは、明らかに雷門選手狙いだった。
あらかじめ帝国選手はダメージが無い様に避けるよう、指示を出してたんだ。
ボールは雷門の選手を飛ばして、ゴールに迫る。悔しいけどあたしも爆風の中踏み止まるのが精一杯だった。
西園「うわぁぁっ!!」
橘「信助君!」
観客席まで飛んで行っちゃいそうな信助君の腕を掴む。軽!!どうしてこの子こんなにちっちゃいの!?
目を凝らしてボールの行方を追うと、そのボールはゴール前まで来ると回り始めた。回転がかかってた…もしかして、あのボール!!
橘「信助君、君跳べるよね!!」
西園「っ…だめ、僕跳べないよ…」
信助君は、自信なさげに俯いた。
そう言えば、この試合では帝国選手より高く跳べてなくて…。
橘「あのボール、高く跳ぶの!そしたらきっと…」
あたしが言い掛けると、丁度帝国選手がボールに向かって走り出した。
あのボールにかかった回転なら、この後高くバウンドするはず。そこを高く跳べる選手でシュートさせる作戦に違いない!
橘「跳んで、信助君!あの雲を破るくらい高く!!!」
西園「——!!うんっ!!」
ボールがバウンドする。
あたしは信助君の腕を、ゴール前に行くように勢いをつけて振り払った。
帝国の選手が跳んだのとワンテンポ遅れて、信助君がジャンプした。
逸見「!」
西園「ぶっとび、ジャーンプッ!」
出来たっ!!この必殺技はシュート技、だったらこれは大チャンス…。
橘「剣城君、天馬君っ、行くよッ!!」
御門(?)「!?あの天使…」
このチャンス、絶対逃さないんだからっ!!
あたしの中にある聖力、それを解き放って橘美咲はアルモニという天使になる!
橘「ヘブンズエンジェル!」
信助君のぶっとびジャンプに、ヘブンズエンジェルでシュートチェイン!それだけでは終わらせないっ!
天馬「マッハ…ウィンドっ!!」
さらに追加っ!!
剣城君、と叫んだ。祈りを込めて、必死に、このシュートが決まるように———。
剣城「デスドロップ!」
最後のチェインが完了。あたしは祈る、悪魔を破りたいってだけじゃ無くて、いつしか雷門の勝利を願って。
ホイッスルの音が聞こえた。
恐る恐る目を開けると、GKの選手から黒い気が消えていった所。そしてゴールラインの奥に、白と黒のボール。
もう1度、ホイッスル。
橘「決まった…?」
西園「やったぁっ!勝ったよ、勝ったよ!!」
…そっか、入ったんだ……あれ?
橘「っ…」
西園「美咲ちゃんっ!?」
声が、遠い……
頭の中でソフィアの声が聞こえた気がした。何か、いきなり試合に出された時みたいに呆れた声。
ソフィア『全く、ヘブンズエンジェルをいきなり使うなんてどうかしてるわ。』
あはは…でも、少しくらい良いでしょ…?
霧野「橘ぁっ!!」
少しだけ、おやすみなさい……
**
ソフィア「全くあの子は…久し振りに打った後にもう1回打つなんて。チームの人が心配するじゃない。」
悪魔を拘束した後、少し覗いてみるとアルモニは2回目のヘブンズエンジェルを放っていて。
少し呆れた。人間界に居る間は睡眠で回復できる筈だから、心配はしてないけど…。
ソフィア「それじゃあ…悪魔側は何を企んでるのか、教えてもらおうかしら。」
ナンバーナイン、2番目に弱い悪魔ってところ。相応の情報しかないわね。ただ天使を潰せとしか言われてないって。
私は、悪魔を光の壁に閉じ込めて殺した。
ソフィア「…全く、余計な仕事を増やさないでほしいわ。」
魂を袋に仕舞う。
ソフィア「魂の捕獲成功…帰ったらアルモニに説教する役割が回ってくるのね…」
気が重たいわ。
*
ホーリーロード地区予選準決勝、4−3で雷門の勝利。