二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*第68話更新! ( No.642 )
日時: 2012/08/13 16:18
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

第69話 ドジでちっちゃな小学生?

「太陽いるか?」

病室の扉をノックする音と同時に聞こえた声に、太陽はテレビから顔を上げる。

そしてその声をもう一度頭の中で繰り返し、自分の知る人と分かると表情を明るくさせた。

太陽「どうぞっ、魁渡さん!」
魁太「今日は脱走してなかったな!」
太陽「だって雷門の試合が…。」

相当のサッカー好き、と感じた魁渡であった。

2人は初めて会ったあの日から、時々お互いの部屋を行ったり来たりして話をしていた。

その話の中で、魁渡は太陽が10年に1人と言われる天才ストライカーである事、病弱でサッカーが出来ない事を知る。

だから太陽が脱走してボールに触っている姿を見た時、悲しくなった。できるならば、彼とサッカーをしてみたいとも思う。

しかし。

太陽「それより魁渡さん、どうしてここに?」
魁渡「あ、そろそろ俺ここ出るからさ。」
太陽「へー、そうなんですか!」

ああ、と笑顔の魁渡を、太陽もニコニコとした表情で見つめる。

太陽「・・・・・・・・・えええーっ!!?」
魁渡「Σ!!」
太陽「たっ、退院ですか!?そんな…僕まだ魁渡さんとサッカー…」
魁渡「…」

魁渡は本気で悲しそうな表情をする太陽の背をぽん、と叩いて笑って見せる。

魁渡「リハビリ施設にちょっと行くだけだ!すぐ戻ってくる事になるから…その時にサッカー出来るように大人しくしてろよ!」

…傍から見ると、小学生が中学生を励ましているようだ。実際、魁渡の精神年齢は未だ小学生だが。

だが太陽からしてみれば、魁渡はイナズマジャパンで活躍した尊敬する人物。彼とサッカー出来る機会を逃したくない。

太陽「…はいっ!」


「さあ、ホーリーロード本選をかけた予選決勝、キックオフです!」

魁渡・太陽「!」

2人の視線は、テレビに釘づけになる。

試合は始まっていた。

海王の選手はドリブルで上がっていく。天馬たちが取りに行くも、奪う事が出来ない。

魁渡「…さすがはシードだな。」
太陽「!」

鬼道から聞かされていた魁渡は知っていた。海王の選手が、全員フィフスセクターの専属選手であることを。

だからか、視線は自然と雷門イレブンで唯一シード出身の剣城にいく。

しかし、剣城はボールを奪いはしたものの他の海王選手に奪い返され、そのボールは背番号11の喜峰ヨシミネに渡った。

喜峰「フライングフィッシュ!」
魁渡「トビウオ!?」

放ったシュートは、まるでプールのウォータースライダーを魚と一緒に流れている様な…。by魁渡

太陽「…点入りましたよ。」
魁渡「とりあえずキーパーは新必殺技を習得しないとだな。」

そう言いながら魁渡は頬杖をつき、これからの雷門の逆転劇がどうなるか少し楽しみにしているのであった。




橘「…かんっぜんに海王のペースだね。」

雷門は、個人の実力差が海王とありすぎる事からチームプレーで攻めていくという作戦に出た。

それが功を制し、剣城のデスドロップで1点を返したのだが…。

青山「なっ…アイツも化身使いだったのか!」
一乃「これで3体目だぞ…」
歌音「これから本領発揮ってことね。」

キャプテン浪川の化身・海王ポセイドンにあっさりと1点を奪われ、続けてフライングフィッシュで点差を広げられてしまった。

しかも相手は浪川に加え、DF湾田ワンダの音速のバリウス、そして井出イデの精鋭兵ポーンと3体の化身が出ている。

初披露である倉間の必殺技・サイドワインダーも止められてしまった。化身使いである剣城と神童はしっかりマークされている。

橘「この状況を打開するには…やっぱり、」
葵「天馬の新必殺技!」
橘「う〜ん、それもそうだけど…」

え?と首を傾げたのは葵だけではなく、ベンチで試合の展開を見守っていた全員だ。

橘「……このままじゃ、勝てないもん…」
歌音「?どうしたの、美咲さん…今日、おかしいじゃない?」
橘「えっ…、そう?」

前半終了のホイッスルが鳴り響き、疲れた表情で選手達がベンチへ帰って来た。

橘「…何か、いつもと違うなぁ…」

何が違うんだろう、と考え込む彼女と同じように、コートの上では3失点を許した三国が右手を強く握りしめていた。



太陽「2点差で前半終了…」
魁渡「それにしても化身っていうのが1チームに3体…間近で見たらスゲー迫力だろうな…」
太陽「! 魁渡さん、化身見た事無いんですか?」

言ってしまってから、しまった、と口を塞ぐ。

円堂の時代、化身などいなかった。

それどころかホーリーロードが始まる前まで、化身使いの存在は表に出ていなかったのだ。

しかし太陽の中で魁渡は強いサッカープレイヤー、それはイコール化身使いに結びついてしまう。

魁渡「まあ…でも周りより強いんだよな、化身使いって。サッカーしてみてえなぁ…」
太陽「…今度サッカーする時、楽しみにしててください。」
魁渡「?」

アポロを思い出してニッコリと笑う太陽と、気付かないのか首を傾げる魁渡。

その時、からりとドアが開く。

「太陽、脱走してるかー?」
「脱走してたら大変ですっ…て、あ。」

魁渡「!」

見舞いに訪れたらしい男女2人を見て、魁渡は病室の時計に目を付ける。

そろそろ時間か、と心の中で呟き、来客を見て表情を明るくする太陽を振り返った。

魁渡「俺そろそろ行くから。」
太陽「えっ…!」
魁渡「じゃあなっ、ちゃんと安静にしてろよ!」

スッと椅子から立って駆け足で魁渡は部屋から出ていった。

途端魁渡とすれ違った少女が、慌しい動きで廊下へ車いすを乗り出す。すると見えたのは、廊下で足を滑らせてこける魁渡。

「…」
「どうした、輝姫?」
輝姫「あ…何でも無いです、星也先輩。」

人違いかぁ、と心の中で呟く。

太陽「先輩、来て下さったんですか。」
星也「脱走してないみたいで安心した!それにしても、少し見ない内に小学生の友達をつくってたのか。」
太陽「ええまあ……輝姫、どうかした?」
輝姫「ううん、何でも無い…。」

新雲学園サッカー部部員・真木星也とマネージャーの白炎輝姫。太陽の幼馴染である2人とは、いつも日が暮れるまで話し込む。

と、星也が点けられたテレビに気付いて呟く。

星也「…ホーリーロードか。」
輝姫「あ、あれ…?このGK…前の試合、MFで出てたような、」
太陽「!」

後半開始の時に発表された雷門のフォーメーション。

雷門のゴールを守るのは、1年の松風天馬になっていた。


太陽「…前半で見えたあのオーラが形になるのは、」

きっともうすぐだ。


* to be continued... *
新雲学園部門で募集した星也君と輝姫ちゃんを出させて頂きました!
変更してほしい点などありましたら、よろしくお願いします。