二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*〜イナGO人気投票実施中! ( No.67 )
日時: 2011/09/06 03:28
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

第8話 学校へ


神「おはようございます。」

神童が、何時も通りに起きて来た。テーブルにつくと、向かいの席の月乃が「おはようございます。」と返した。

起床が早い彼女に、少し驚きながらも朝食を食べる。サンドウィッチやサラダなど、完全に洋食。

カチャン、という食器の音。

月「ごちそうさまでした。」

そう言って彼女が席を立つ。神童が来た時にはもう食べ始まっていたから、食べ終わりも早い。

10分後、神童と月乃は家を出た。まだ馴染んでいない、彼女の制服姿は新鮮だった。

晴れている。蒼い空で爽やかな空気。

月「天馬さん、1年生なんですよね…」

ポツ、と彼女が言った。

神「ああ。同じ学年だな。」

月「…。」

何か考える所でもあったのか、黙りこむ。やっぱり不思議だ、と神童は思った。

2列で歩いて登校。けれど、あの一言以来、彼女は話さなかった。



学校に着いた直後だった。

剣城が、話しかけたのは。月乃は目を見開き、神童は顔をしかめた。剣城も月乃を見て眉を寄せる。

彼女は1歩下がった。

神童は勝敗指示を聞かされ、聞くまいとしていた彼女も紙で知ってしまった。

月「—!」

…兄様、と呟き彼を見た。

サッカーと向き合おうとして、でも拘束していると改めて知らされて。私達はどうすれば良いのか—?




—1年教室

ざわつく教室。

少女が教室に入っても、誰も気にせず各々会話をつづけていた。黒髪の少女は深呼吸して進む。

自分の席—あった、と彼女は安堵したように呟く。と、今までその様子を眺めていた少女が口を開いた。

それは奏宮歌音だった。

歌「おはよう、橘(たちばな)さん。」

橘、と呼ばれた彼女は慣れないのか慌てて振り向く。桃色の瞳が歌音を捕えた。

橘「おっ、おはよう奏宮さん。」

歌(橘美咲…今までもっと静かな感じだったはず…。)

天「おはよっ、歌音!」

明るい声、歌音は面倒くさそうに挨拶を返す。橘は彼を全く気にしていない様子。

橘「奏宮さん、何だかクラスが騒がしいけど…何かあるの?」

歌「転校生らしいわ。」

今さっき取り出した文庫本をめくりながら彼女が答えると、転校生、と橘が復唱する。

スクールバッグを机の上に乗せたまま席に座ると、丁度先生が入って来た。途端に生徒達が静かになる。

女の若い先生だった。

先生「今日は担任の先生が風邪ひいちゃったらしくて、代わりに担任をします小浜です。転校生居るからね、皆もう知ってるみたいだけど。」

テンション高、と歌音が呟いたのが聞こえた。

ガラリとドアが開いて、直ぐに現れた桜色の髪。少女は先生の隣に立つと礼をした。

歌「…」

天「あーっ!」

葵「!?」

天馬が席を立って転校生を指でさした。少女は彼をじっと見て、そして視線をクラス全員に向け直した。

「月乃杏樹です。今日からよろしくお願いします。」

天馬が、少し嬉しそうな表情で、彼女を見ていた。それとは対照的に眉間にしわを寄せるのは橘。

先「月乃さんは、一番後ろの席に座って。1人だけだけど通路挟んだ隣はしっかり者の歌音さんだから!」

月「はい…」

クラス全員が思った。

この2人、全く対照的である。月乃、テンション低すぎだ。



休憩時間。天馬が月乃の席に駆けつける。

天「月乃さんっ、同じクラスだね!!」

月「天馬さん、人を指さすのはいけない事です。」

頬杖を突いて窓の外を眺めながら、彼女が言い返した。天馬がキョトンとして見つめる。

髪はそのまま下ろしていて、昨日と全く同じ感じ。でも何だか冷静以上の冷めた口調は昨日は感じられなかった部分。

葵「天馬!知り合い?!」

月「昨日少し…。」

葵「そうなんだ!私、空野葵!よろしく月乃さん!」

よろしく、と小さく呟くだけの返事。視線は相変わらず窓の外で、けれどグラウンドには誰もいない。


歌音が、違うみたい、と呟いた。
橘が、もしかして、という視線で彼女を見る。


一瞬、同居人が見せた写真の少女の面影を感じたなんて。
もしかして、自分が捜していた人かもしれないなんて。


雷門中に、新しい風が舞い込んだ。