PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第1章 王族の姫からの頼み事 ( No.73 )
- 日時: 2011/09/17 21:43
- 名前: おかゆ (ID: In.A84i5)
- 参照: ちょっと行間みたいになった
彼女、否、彼は恐る恐る目を開ける。
壁は石で出来ていて窓は1つしか無く、何本も鉄の棒が挟まっており、出る事も出来ない。
そもそも手と足に足枷を付けられており、出る事は不可能だった。
彼ーーーーー白雪姫風介は、窓から差し込む温かな光を見ていた。
その顔は、懐かしい過去を思い出すかの様に。
そして、とても物悲しそうで、弱々しそうで。
彼はすこし転んだだけで骨が折れてしまうかと思う程に痩せ細っていた。
彼は右下を見る。
そこにはほのかに爽やかな匂いのする青リンゴがあった。
しかし、彼はそれを手に取る事は無かった。
この青リンゴは世界を変える程不思議な力が有ると言われてきた。
だから腐る事は無かった。
言い伝えを信じる人間は少ないが、彼は信じた。
この青リンゴは世界を変えると信じて。
その時、何かが窓の近くに来た様な気がした。
白雪姫風介はそちらを見ると、少女が居た。
赤い頭巾をフードの様にし、鉄砲を持った少女。
しかし彼が瞬きをすると少女は一瞬にして消えた。
まるで、間違えた所で映画のフィルムを繋げてしまったかの様に。
幻覚だったらしい。
白雪姫風介は不思議に思った。
でも、何故だか安心した。
幻覚の少女が本当に助けに来てくれると思ったからだ。
彼は再び目を閉じる。
必ず誰かがここから連れ出してくれると信じて。
PR