二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 飛んで、跳ねて、真っ直ぐに 【銀魂】 壱訓UP! ( No.13 )
- 日時: 2011/09/23 20:39
- 名前: リリ ◆EPemxtc4xk (ID: 3XK5OMH1)
第弐訓【やっぱりお母さんは若い方が嬉しい】
「ただいまー。」
「あーおかえり。」
長屋の中へ入ると、綺麗な顔立ちをした女性が綺麗な着物を着ているにも関わらず胡坐をかき、顔だけこちらに向けて座っていた。
この少し、いや、かなりはしたない女性が志真の母親—山田三珠である。
「今日もガキと遊んできたのかー?」
「いーじゃん別に。暇なんだもん。」
「まーいいけどなー。」
そして、しばらく部屋の中を彷徨っていた志真の視線がある一点で止まった。
「ところで、三珠さん?これは何でしょうかね?」
志真の指さす先には写真が山になっていて、その周りにも大量の写真が散らばっていた。
「いやー、あの、昔を振りかえってみよー。……みたいな?—おっ、これヅラじゃん!こっちは晋助か?…いやぁ、なっつかしーなー!!」
三珠はこちらに向けていた視線を写真の山に戻し、声を上げながら再び写真を眺め始めた。
「みたいな?じゃねーよ!これどうせ私が片づけんでしょ?やーだーよー!」
「なーに言ってんの。私が片づけなんてもんできると思ってんの?」
「思ってません!家事は全部こなせる癖に片づけだけはどうしてもできないようなお母さんにそんなもん出来るなんてこれっぽっちも思ってません!!」
「わかってんじゃねーか。—つーわけで、私これから仕事だからあとよろしくなー。」
そして三珠はすっと立ち上がると引っ掛けてある薄い上着を着物の上から羽織り、そのままガラガラと戸を開け、出て行ってしまった。
「チッ、ざけんなよ…。めんどくせーなー。」
志真は文句を言いながらも、残された写真を一つ一つ段ボール箱に戻していった。
拾って入れて、拾って入れてを繰り返すこと1時間。
やっと片づけ終えた志真は、ごろりと床に寝転がり、古い天井を見上げた。
—つーかそろそろもっときれいなとこ引っ越してーなー。
—そもそも何でお母さん吉原で金儲けてきてんのにこんなみすぼらしいとこ住んでんだろ。
—やっぱ住むとこはしっかりしとかないとさー。アレだよなー。
そんなことをいろいろと考えていると、次第に眠くなってきた。
母親は夕方にならないと帰ってこないので、少し眠ろうと志真は目を閉じた。
その時。
ガラガラガラ
「たでーまー。」
三珠が帰って来た。
しかも、酒の匂いを体に纏って。
「おかえり。—うわっ、酒くさっ!飲みすぎだろこんな昼間から!てか帰ってくんの早くね!?まだ2時間しか経ってねぇぞ!?」
「ばーか。昼間だから飲むんだろーがー。それに、今日はそもそも仕事休みだし。」
そしてどすりと座りこみ、いきなりこう告げた。
「志真、お前今日からあたしの知り合いに預けるから。」
「……は?」
志真は呆けた顔で、三珠を見た。
「だーかーらーさー。あたし今日から吉原住み込みだからー、あんたここに置いてく訳にもいかんしー、預ける。荷物30分でまとめろ。」
「いやいやいや!!じゃあ私も別に吉原で良くね!?そしたら綺麗なお姉さんを朝から晩までじっくりいだっ!」
三珠は志真の頭をバゴッと叩き、面倒臭そうに言葉を発した。
「や、それが無理っつーから預けんの。お前いつからそんな馬鹿になった。いいから早く纏めろ。いいだろが、こんな古いとこよりはマシだぞー。」
「ったく横暴なんだから…。わかったわかった。私もそろそろきれいなとこがいーなー、とか思ってたし、全然OKだけどさ。もうちょい早く言おうよ。」
「それでこそあたしの娘だ。ほれ、準備できたら行くぞー。」
「これ入れて…。—あー、いいよ。じゃあ行こ。」
志真は荷物を纏め、立ち上がり、三珠の横に並んだ。
—こうして、志真は三珠の知り合いと言う、とあるスナックの女将の元へ預けられることになった。
ちなみに、その預け先で少しだけ、揉めることになるのだが、それはもう少し、先の話。