二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【短編・シリーズ物など】刹那的蜃気楼【取り扱い】 ( No.3 )
日時: 2011/10/30 19:49
名前: 帆波 (ID: gaoI7MOT)

「__今日も、きてやりましたよ」

静かな電車内に響く私の声。
そして、私が視線を向ける先には、黒いコートに身を包んだ、

「…待ちわびておりました、シノメ様」

サブウェイマスターである、ノボリ。

「今日こそは負けてません、絶対に、私の全プライドをかけて。何なら命をかけてやってもいいんです」
「それはそれは、随分な覚悟でございますね。…では、わたくしも命をおかけいたしましょう」

嫌味に聞こえるのは、多分私があいつが嫌いだからだ。
嫌いだからこそ、バトルする。嫌いだからこそ、バトルで勝ちたい。嫌いだからこそ、私は此処に来る。

「始めましょう。お互いをかけた、バトルを」



「負け、た……?」
「はい、貴方の負け。正真正銘の敗北でございます」

そう、あっけなく言い放ったあいつはやはり好きになれない。嫌いだ。
悔しい、それだけを心で呟くけど、かつんかつん、とこちらに向かって来る靴音で思考が遮られる。

「貴女はいいましたね、全プライドを、命をかけると」
「…」
「そして、その賭けにはわたくしが勝ちました」
「……死ね、とでもいうつもり?」
「いえ、そんなつもりではございません」

ただ___

「命とプライドの代わりに、貴女の一生分の時間を、わたくしにくださいまし」

無表情のまま、眉一つ動かさず言ったその言葉は、何故か私の心を温かくした。

「どういう、いみ」
「わかりませんか?……貴女の一生を、わたくしに捧げてください、と申しているのです」

二度も言わせないでくださいまし。
自分で言ったくせに彼の顔は、ほんの少し、赤みがかっていた。

「…、プロポーズ?」
「そう、捉えていただいても、宜しいですが、」
「いーよ」
「……え?」
「いいって、言ってんの!あんたこそ、私に二度も言わせないで」

そっぽを向いて言ってやった。
横目であいつを見ると、少しだけ、ほんの少しだけだけど、笑ってた。

「ありがとう、ございます」
「別に」
「わたくしが、絶対に幸せにして差し上げます」
「そうじゃなきゃ怒る」

はい……!
嬉しさを含んだその返事に、私も少しだけ、笑ってあげた。


end
______________

何かポケモンに目覚めた。
一応、ノボリさん夢です。