二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 青の祓魔師 〜漆黒の記憶 Dark memory〜  ( No.152 )
日時: 2011/12/04 12:42
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.info/bbs3/index.cgi?mode

番外編 「これって・・・アリですか!?」—アインス—

愛妙side

「—————・・・・い、起きろよ。おい!」
雪男の声が聞こえる。重く閉ざされた瞼を開けるとそこには、心配そうにあたしの顔を覗き込む雪男がいた。あたしはあわてて体を起こす。
「おい、大丈夫か。クロ」
「うん。大丈夫だよ、雪男」

「「・・・・え?」」

雪男が呆けた顔であたしを見下ろす。・・・そういえば、なんか妙に雪男の背が高いような・・・。見間違いかと目をこする。すると、手がいつもの感覚ではなかった。こう、毛がフサフサと暖かく、まるで肉球のように柔らかな・・・って、肉球? おそるおそる自分の両手を確かめる。すると、その手はまるで———————猫のようだった。
「な、なにこれ〜!?」
あたしは絶叫を————と言っても猫だからそんなに声は出せないが————あげた。

———————時を溯ること、三十分ほど前。そこに事件の真相のカギがあった———————

* * * * *

雪男side

「あ、あの、愛妙ちゃん!」
塾が終わり、みんなも教室を出ようとしているころ、しえみさんが愛妙に声をかけた。制服姿に合わない風呂敷包みを手に持って。
「あのね、私今日、クッキー作ってきたんだ。・・・よかったら、食べてくれない?」
その言葉を聞いて、僕と兄さんたちの体が震えた。しかし、それに気づかず、しえみさんは風呂敷の中身を取り出す。中身はもちろんクッキーだったが・・・緑と黄土色を混ぜたような不気味な色だった。しかも、ところどころに焦げもついている。
そのクッキーをみた直後、僕と兄さんたちは顔を見合わせ、アイコンタクトをとった。もちろん意味は———『危険』。それをいますぐ愛妙にも知らせようと向き直る。しかし、
「おいしそ〜」
とそのクッキーを手にとっていた。僕らは急いでしえみさんに気づかれないよう、合図をおくる。ほかの人たちから見れば、それは変な踊りだったかもしれない。しかし、事態は一刻の有余を争うものだった。
だが、その努力もむなしく、
———————パクッ
気づかずに愛妙は食べてしまった。すると、途端に彼女は震えだした。
「おい、愛妙。どうした?」
兄さんが問いかける。やはり、まず————じゃなかった、口に合わなかったか。
「———————お、」
『お』? 緊張が張り詰める中、僕らは息を呑んだ。
「—————お、おいしーい」
—————ガラガラガシャーン
その幸せに満ちた声を聞き、僕らは派手に転げ落ちた。
「ほ、ほんとうに!?」
 しえみさんの目からは、もう涙が出そうになっている。
「うん。ほんとだよ。みんなも食べてみて!」
 そう言って愛妙は僕らにクッキーを差し出す。
 まず、しえみさんがそれを手に取る。そして僕も勇気を出し、手に取る。次に勝呂君、志摩君、三輪君も真っ青な顔をしながら手に取った。兄さんも腹をくくったのか、素早く取った。そして最後に神木さんがしぶしぶと手に取った。
『いただきます』
しえみさんの明るい声と僕らの暗い声が混ざりあう。
———————サクッ
と、一口食べる。すると

———————ズシャーン
まるで雷でも落ちたような衝撃だった。
『(ま、まずい・・・・・・)』
思わずそう思ってしまった。兄さんを見ると、口が開いていて固まってしまっていたし、神木さんも声が出ないようだった。
「う、うまいで。杜山さん」
真っ青な顔で志摩君はグッと親指を突き立てた。その横では勝呂君と三輪君が涙を流しながら無言で頷いている。しかし、残念ながら———————フォローになっていない。
そして最後にしえみさんを見ると—————クッキーに目をやり、固まってしまっている。
そんな僕らの様子を見て、愛妙は笑顔ではてなマークを浮かべていた。
すると、僕は突然眠気に襲われた。周りを見ると愛妙以外の六人は、もうすでに眠ってしまっている。

「・・・・・・ッくっ!」
僕はとうとう眠気に耐えきれず、そのまま深い眠りへと落ちていった。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

———————そして、現在の状況に至る。

僕は眠りから目覚め、体を起こす。すると、なぜか制服を着ていた。さっきは祓魔師エクソシストの服を着ていたはずなのに・・・。
「おい、大丈夫か?」
顔を上げると、そこには目つきの悪い三輪君がいた。
「気いついたか、志摩。」

「・・・・・・えっ?」

そう僕は———————志摩君の姿になっていた。

 〆 12月3日


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*あとがき*

はい、「これ、本編より長くね?」って思ったそこのあなた!!!


その通りです!!!!


感想&コメ 待ってます!!


サリーちゃん、どう?まだ続くから楽しみにしててね!!