二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 青の祓魔師 〜漆黒の記憶〜 ( No.382 )
- 日時: 2012/02/11 14:18
- 名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
第十五話 「ハツニンム」
「ここに、来ないで下さい」
愛妙と同じ顔をした少女が言う。髪の色・長さ、整った顔はもちろん、体格までもが同じだった。———唯一、瞳の色を除けば。
瞳は愛妙の 若草のような緑とは違い、深い海のような紺碧だった。
少女を見ていると、鏡を見たような感覚に陥ってしまう・・・そんな思いが愛妙の頭をよぎっていた。
ふいに、少女は愛妙に背を向け、暗闇へと向かう。
「待って!」
愛妙の声に少女は振り向く。みつめてくる少女に愛妙は恐る恐る、
「あなたは・・・・・・誰なの?」
少女は口を開く。
「私は———————————————」
* * * * *
「ふわああぁぁ」
晴れ渡る雲一つ無い青空の下。愛妙は大きな欠伸を一つ。
「姫、どうしたの? そんな大きな欠伸なんかして」
「ん〜〜。ちょっと寝不足でね」
下から顔を覗き込んでくる瑠璃に愛妙は笑顔で言う。
(あの夢のせいで眠れなかった、なんて言えないもんね・・・)
「き、今日は任務の日だからね、はりきって早く起きちゃったんだ!」
「そうか、愛妙はこらが初めての任務だもんな」
愛妙の慌てている様子に気付かない燐は、「ここは先輩の俺がいろいろ教えてやるぜ!」と先輩気取りで話している。
「あたしも初めてだー! 姫、楽しみだね」
「・・・・・・あのさあ、姫ってなに?」
瑠璃の愛妙をよぶ呼び方が気になった燐は思わず聞いてみた。
「なんかずっと姫姫呼んでるよね。そういえばなんで?」
「え、だってお姫様みたいにかわいいじゃん!?」
無垢な瞳を愛妙と燐に向ける瑠璃。そんな瞳に負けた二人は深くは言わず、まあいいかということになった。
「ほら、みなさん。着きましたよ」
任務で悪魔のでる森へ向かっていた愛妙たちの前を歩いていた雪男がいう。
「ここかあ」
初めての任務に愛妙は胸を躍らせていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「まったく・・・・・・あの人は何をやっているんですか」
怒り気味の雪男はブツブツと文句を言いながら辺りをウロウロしていた。そんな様子を燐、愛妙、瑠璃の三人は座りながら見ていた。すると、
「ゴメ〜ン! まったぁ?」
「遅いですよ! 日向さん」
日向と呼ばれた女性は息を切らしながら雪男たちのもとへ駆けてきた。
「お、おい雪男。そいつ・・・」
「ああ、この人は日向葵さん。この任務に引率する祓魔師。こう見えても二十歳だよ」
「いやいや、二十歳ってところは余計じゃない? まあ、いいや・・・・・・。ど〜も〜、葵で〜す」
「「じゃなくて・・・・・・」」
あんぐりと口を開けた燐と愛妙は葵、ではなく葵の服を指差す。
「あ、コレ私服」
「私服じゃねーだろ! なんだよソレ!!」
「燐、アレはゴスロリだよ」
ゴスロリを知らない燐に説明する愛妙。葵は白と黒のフリルがたっぷりとついたゴスロリを身に纏っていた。
「あの、いいんですか? ソレ」
「いいんじゃない? ほら、バッチもちゃんと付けてるし」
そう言って葵は胸に付けている祓魔師のバッチを前に出し、愛妙たちに見せつける。
「あのなぁ・・・・・・」
「はいはい、みなさん。そろそろ任務に移りますよ」
「「「「はーい」」」」
雪男の言葉に不満な声なども混じっていたが、一斉に声を上げた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「任務の内容は、雨大蛇の撃退です」
「雨大蛇って何だ?」
「もぉ〜燐ってば、授業で習ったじゃん。
雨大蛇とは森に生息する中級の悪魔で、普段は普通の蛇の大きさなんだけど、巨大化するからとても危険なの。巨大化するのは・・・・・・えっとなんだっけ?」
首を傾げる愛妙。その隣では瑠璃がクスクスと笑っていた。
「姫、巨大化するのは雨が降ったりして水に濡れたときだよ」
「あ、そっか」
ポムッと手をついて納得する愛妙と燐。頷いていた雪男は口を開く。
「蔀さん、群青さん、よくできましたね。そのとおりです。その雨大蛇がこの森で暴れているという情報があったのでこの任務が出ました」
「雨大蛇は一匹だけだと思うから、二組のチームに分けるよ〜。えっとー、Aチームは群青さんと奥村先生。Bチームは、私と蔀さんと奥村くんね」
葵の指示に従い、一同は二組のチーム」に分かれた。
—————Aチーム。群青瑠璃、奥村雪男。
「よろしくお願いしますね。奥村センセ♪」
「よろしくお願いします。では、行きましょうか」
「はーいッ!」
元気よく返事をした瑠璃は雪男の後にトコトコとついていく。
—————Bチーム。日向葵、蔀愛妙、奥村燐。
「よろしくー!」
「「よろしくお願いしま〜す」」
「じゃあ早速行こっか」
「よっしゃあ、行くゼ!」
「「レッツゴぉーー!!」
葵と燐のやり取りに微笑む愛妙。そして腕を突き上げて声を上げる。
「オーーッ!」
〆 2月11日