二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 青の祓魔師 〜漆黒の記憶 Dark memory〜 ( No.43 )
- 日時: 2011/10/30 17:09
- 名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
番外編 「桜の約束」
桜が満開に咲き誇り、春のそよ風に美しく散っているとき、【それ】は行われていた。
【それ】は 獅郎のある一言で始まった。
「あ〜〜、花見して〜〜なぁ〜〜〜。」
『?!』
その場にいた修道士たちと燐、雪男、愛妙の全員は 固まった。
「なに 言ってんだよ。それよりどうすんだよ、愛妙のか・ん・げ・い・か・い!!」
いすによりかかり、窓の外をぼ〜〜〜っと眺めていた獅郎に燐はツッコミをいれた。
そう、今まさに愛妙の歓迎会をどうするか考えていたときだった。
「そーだよ!!歓迎会!外でお花見すりゃいいんだよ!!!」
『・・・・・は?』
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そんなこんなでお花見———————歓迎会は始まった。
前半はちゃんと歓迎会をやっていた、のだが・・・・・・
後半からは獅郎や修道士たちがビールを飲んで、大人だけで花見は盛り上がり、酔いつぶれていた。
ひま になってしまった燐、雪男、愛妙の三人は桜並木道をぶらぶら散歩していた。
「きれーだなー。」
燐はそうつぶやいた。 雪男は「うん、そうだね。」と、笑い返してしてくれたが、愛妙はまだ おどおどしていて笑顔を見せてくれなかった。
「かくれんぼ——————しようぜ。」
燐はいきなりいいだした。雪男は、
「うん、いいよ。」
と答え、愛妙も コクン と小さくうなずいた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
じゃんけんをし、負けた燐は「いーち、にーい、さーん・・・・・」と数えだし、雪男と愛妙は それぞれ別のところへ隠れにいった。
それから、すぐ 雪男は見つかったが、愛妙はなかなか見つからず、黄昏時になっていた。
「愛妙ちゃん、どこに隠れたんだろう・・・」
雪男は不安気な声で燐に聞いた。しかし、燐は答えず、小さくつぶやいた。
「・・・・ほんとに・・・どこいったんだ。」
探し歩いていると、1本の大木の桜が満開に咲き、美しく散っているのが目に映った。
その大木の根元に愛妙は座り込んでいた。よく見ると愛妙は泣いていた。
「どうして泣いてんだよ。」
「どうして泣いてるの?」
燐と雪男は同時に聞いた。
「・・・・お父さんとお母さん、病気で死んじゃって、あたし 一人ぼっちになっちゃったから・・・・・・」
愛妙は泣きながらそう答えた。
「一人じゃねぇよ。」
「え?」
そういった燐に愛妙は聞き返した。
「おれや雪男がいる。それに、父さんや修道院のみんながいるじゃねぇか。・・・・・それに」
燐は続けた。
「おれと雪男が・・・・・いっしょに・・・・・・・そばにいてやる!」
燐は照れくさそうにいった。
「ほんとに?」
「ほんとだ!なっ、雪男!」
「う、うん!」
雪男は笑顔でそう答えた。
「ほんと?じゃあ約束!」
愛妙はとびっきりの笑顔を浮かべた。
「あぁ、約束だ。」
「うん。」
三人は、『ゆびきりげんまん、うそついたら はりせんぼん のーます♪』そういって指切りした。
そう約束した瞬間、桜が強風に煽られ、一斉に花びらが宙に舞った。
「そうだ、じゃあ また今度、この桜 見に来ようぜ!」
「「うん!」」
燐、雪男、愛妙は秘密の約束を交わした。
「三人とも!そこで何やってるんだ?帰るぞ!」
酔いが覚めたようで獅郎は三人に声をかけた。
「「「はーい!!」」」
三人は元気よく返事をし、仲良く手をつないで駆けていった。
帰り道、燐は約束を交わすときの愛妙の笑顔を思い出し、
(桜の妖精みたいだったな・・・・・。)
幼心にそう、思った。
〆 10月30日