二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 青の祓魔師 〜漆黒の記憶〜 更新再開!!!!!! ( No.510 )
- 日時: 2012/10/03 17:02
- 名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode
第16話「ANOTHER」
「私は———あなたです」
闇の中、静かに佇む愛妙と瓜二つの少女は言う。
「・・・それはどういう意味?」
少女の言葉に、ただならぬ様子を感じた愛妙は問う。
「私は、あなたが存在することで生きていられるのです。そう、それは光と影のように。真実と嘘のように。けっして交わることのない鏡。まさに表裏一体なのです」
少女は妖しく微笑を浮かべる。しかし、愛妙とは違う紺碧の瞳は、微笑んではいなかった。
少女は続ける。
「あなたが生きているから私はここに存在し、私が存在しているからあなたは今ここに生きているのです。」
「やめて。
聞きたくない。」
「しかし、一方を失うともう一方も失われてしまう。ですから———」
「やめて。
聞きたくない聞きたくない。
やめてやめてやめてやめて。
もうヤメテ!」
しかし愛妙の言葉は届かず、少女は無慈悲に告げる。
「———私が消えると、あなたも死ぬんですよ?」
少女は確かにそう言った。
◆◆◆◆◆
雨が降ってきた。小降りだが、すぐ止みそうにはない。
「愛妙ぁ!! 立てぇぇ!!」
下に座り込んでいた愛妙は、考え事をしていたため、いきなりの燐の大声を聞き、驚く。
「えっ、なに!? どうしたの?」
「いいから立って! 蔀さん!」
隣にいた葵が焦りながら愛妙を急かす。
「早くアレから逃げろォォォォ!!!」
「へっ? アレって・・・・・・キャアァァァ!!!」
後ろの遠くから聞こえた燐の声に反応し、振り向く。するとそこには、
もの凄いスピードで迫ってきている7、8mはあるだろう、巨大な雨大蛇に追いかけられている燐の姿が、そこにはあった。
◆◆◆◆◆
数時間も前のことになる。
「見つからねぇ・・・」
燐はいらだちを見せながらそう呟いた。
「もうちょっと頑張ろう? ね、燐」
「もうちょっとっていってもよ、・・・もう、昼だぞ!?」
朝から捜索を開始したはずなのに、今は昼だった。雲一つ無い青空に、太陽が真上に昇っていた。
「・・・俺、もう無理」
「ちょ、ちょっと燐!?」
いきなり燐はその場に寝ころんだかと思うと、悪魔討伐の任務を放り出したのだ。そんな燐を愛妙が起こそうとするが、
「いいのよ蔀さん。そんなヤツは放っておいておこう!」
葵がいらだちを見せながらそう言った。葵も長時間の任務で疲れているのか、朝までの元気が無くなっている。そして燐など目にも止めず、ズンズン森の奥へと進んでいった。
「はあぁ」と愛妙はため息をつくと、
「・・・燐。私と先生、先に行ってるから、ちゃんとあとから着いてきてね!」
そう言うと足早に森の奥へと進んでいった葵を追いかけていった。
「へいへい・・・」
燐は離れていく愛妙の姿を見ながら呟いた。
ふと上に広がっている青空を見ると、瞼を閉じた。するといつの間にか眠気に誘われ、深い寝息を立てていた。
「・・・ん? ふわぁぁ」
いくら寝ていたのだろうか。空を見上げると、先ほど青空までとは一変、鮮やかな赤にも近いオレンジ色に染まった雲一つ無い空が広がっており、森の中も薄暗くなっていた。
「やっべ! 愛妙たちに追いつかないと」
燐は急いで体を起こすと、森の、愛妙が走っていった方向へ駆け出した。
「愛妙ぁ〜。お〜い!」
いくらか叫んでみたが、なんの反応もなし。しばらく森の中を彷徨っていると、遠くに人影が見えた。派手な服装からして、どうやら葵らしい。
「お〜いッ!!」
燐は叫びながら葵のいる方へ走り出す。すると、
———グニュッ
何か柔らかいモノを踏んだ感触だった。恐る恐る足を上げて見てみると、
『シャアァァァ!!』
鮮やかなダークブルーの模様の蛇がそこにいた。どうやらその蛇のしっぽを踏んでしまったらしい。
『シャアァァァ!!』
蛇は口を開き、牙を見せており、怒りの色を放っていた。
「わ、悪ぃ! 俺が悪かった!!」
燐は一生懸命あやまるが、蛇はもうほとんど我を忘れていた。
するとそこで、———ポタ、ポタッと頭上に雫が落ちてきた。
「あ、雨か!?」
小雨が降ってきた。
『ジャアァァァァッッ!!!』
声色が変わった。急いで下を見ると、およそ30cmほどしかなかった蛇がみるみるうちに、———巨大化していた。ビル3階分ほどの高さに。そんな蛇が、
「うわあぁぁぁッッ!!!」
燐に向かって迫ってくる。燐は逃げるために走り出した。しかしやはり蛇は燐の後を追ってくる。しかも逃げた先にいたのは、
「ちょ、奥村くん!?」
葵だった。燐は説明する暇もなく、ただ大声で叫んだ。
「逃げろぉぉぉ!!」
すると、葵のすぐ横、下の方に愛妙が座っているのが見えた。愛妙はなにか考え事をしていたのか、こちらの状況に全く気がついていない。
「愛妙ぁ! 立てぇぇ!!」
そして、
「早くアレから逃げろぉぉぉぉ!!!」
燐は無我夢中で叫んだ。
そして、今に至る。
〆 10月3日