二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ポケモンBW】災厄の魔女〜凍てつく境界を統べる者〜 ( No.14 )
日時: 2011/11/11 15:38
名前: 水瀬燈夜 (ID: RHCEY5Ol)

【第1章】再会と、新たな出会い③

その悲鳴に、トウコがすぐに反応する。

「今の悲鳴……もしかしてベル?」

言いつつ、トウコは窓から身を乗り出す。落ちるぞ、とトウヤが忠告するよりも先にトウコはそのまま窓の枠に足を掛けた。どうやらそこから飛び降りるらしい。

「ちょっ……トウコ!?」
「トウヤ、ちょっと私様子見てくるね。何かあったらライブキャスターで伝えるから、後から来て」

トウコは早口でそう捲し立てると、そのままトウヤの部屋の窓から飛び降りた。いつの間に出したのか、トウコの相棒のゴチルゼルも後から続いて飛び降りる。残されたトウヤは呆然とベッドに座っていた。

「一体何なんだ…………? ブルンゲル、おいで」

素直にライブキャスターの連絡を待つことにしたのか、トウヤはそのままブルンゲルを誘う。ブルンゲルは嬉しそうにトウヤの元へやってきて、くるくると回り始めた。トウヤの身体に未だに巻きついたままのジャローダは顔をゆっくりと上げ、隅にいたドリュウズも何事かというようにブルンゲルに近付く。まるで時間が止まったかのように、トウヤたちはブルンゲルの舞に見とれていた。

途端に、ライブキャスターが部屋中に鳴り響く。

「もう……? 早いな、トウコのやつ」

せっかく良いとこだったのに……と呟きながらもトウヤは左手首に付けたライブキャスターをつなげる。画面全体にはトウコが映っていた。どこか真剣な様子に、トウヤだけでなくジャローダ・ドリュウズ・ブルンゲルも覗き込む。

『トウヤ、トウヤ! 私の声聞こえる?』
「聞こえてるよトウコ。そんな大声出さなくてもいいだろ」
『聞こえてるならいいわ! 今すぐ入り口まで来てくれない? なんか思ったよりも大変なことになってて……』
「今すぐ? わかった」
『いいわね? ホントに、ホントに今すぐだからね!!』

トウコはそう念押しするとライブキャスターを切った。トウヤの周りにいたポケモンたちはすぐに部屋の隅へと離れる。トウコの切羽詰まったような声と、トウヤの様子で察してくれたらしい。

「じゃあ、今からちょっと行って来るから。そのまま部屋にいろよ」

トウヤはポケモンたちにそう言うと、トウコと同じように窓から外へ飛び降りた。