二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【テニスの王子様】偽りの桜〜第四話更新 ( No.18 )
- 日時: 2011/12/07 21:51
- 名前: 花暦桜花 (ID: lUcqHz23)
5、忘却したはずの記憶
"薄は僕よりずっといいものを持ってるよ!"
_________龍はそう言うけれど、私が本当に欲しいのは______
"俺、薄のこと守りたい。これからもずっと…。"
_________守ってほしかった。ずっと傍にいたかった_______
蘇るのは記憶の断片。
薄だったころの記憶。
でも今は
"お前は龍だ"
そう。僕は龍。
薄じゃない。
龍になれば少しは認めてくれる。
そう思い込んでいた。
だけど、僕を待っていたのは___________________
「…、…う、…ゅう、…りゅう、…龍!!!」
深い"記憶"と言う名の川底に沈められた僕に差し出してくれるこの手は______
「龍!!気が付いたんか!!」
まず目に入ったもの。薄暗い天井。どうやらここは部室らしい。そして…金ちゃんの安心した笑顔。そして金ちゃん越しに映るのは見知らぬ人の顔。そして時間差で僕はその人に膝枕されていることに気が付いた。
「すみません。」
平然を装いそう、礼を言うと彼は屈託のない笑顔で、
「んなこと、気にせんでええばい。それより、なんで倒れたか覚えてっと?」
「……どうしてだっけ?」
「アンタ、いきなりぶっ倒れたんすよ。」
そう説明してくれたのは、ピアスをつけた黒髪の少年だった。
…あぁ、そうだ。僕、倒れたんだっけ…。
ぼんやりとそんな事を考えていると、
「小春、謝り!!」
「なんでやねん!!うち、なんも悪いことしてへんで?!」
「せやで!!小春は何も悪いことしてへんで!!」
騒々しい…というか、荒々しい会話が聞こえてきた。
上半身だけ起こして、声のしたほうに身体を向ける。
その目に映ったのは言い争いをする白石先輩と二人の先輩。
なぜだろう…。忘れたはずの記憶が読みがってくる。
"おまえはじゃまだ!!"
"桜ノ宮家には龍だけで十分だ"
"お前は生まれてこなくてよかったのに"
________いつも罵声を浴びせられた。
でもそれは父様の愛なんだって。
そう思っていたのに_______________
「…?どないしたん?龍?」
「え?いや、別に…。どうもしないよ?」
ふと、窓越しでそれを見れば、空は赤く染まっていた。
…僕が嫌う時間帯を知らせる空。
「あの、僕帰りますね。」
急がなくては________
早くしないと
日が暮れてしまう_______________
「ちょ、待ってや!」
ここで先輩…薄い茶髪?の先輩が僕を引きとめる。
「?なんですか?先ほどの事ならそれは僕の責任ですから。」
「せ、せやけど、「僕が僕の過去を乗り越えられないのが原因ですから。」…。」
僕がそう言うと彼は黙りこくってしまった。
「失礼します。」
…結局僕は何のために呼ばれたのだろう?
そう考えながら僕は足早に、部室から出ようとした時。
_________ドンッ!!!!
「わっ?!」
誰かと激突。
「すみません。」
と一言謝り出て行こうとしたが腕を掴まれた。恐る恐る僕の腕をつかんでいる人を見上げると
「話はあんねん。桜ノ宮。」
_____________オサムちゃんだった。