二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【テニスの王子様】偽りの桜〜第六話更新 ( No.25 )
日時: 2012/01/03 17:52
名前: 花暦桜花 (ID: lUcqHz23)

7、春と宵の帰り道

やっと帰れる…。

部室から出ると外は真っ暗。

「…っ!!!」

___________うかつだった


あれから少ししか経っていない。そう思い込んでいた。それが命取りだったんだ。

…どうしよう。ここはまだ街灯があるからいいけど…。

他の、街灯のないところだと僕は__________________


「龍!一緒に帰らへん?」

「…え?」

___________金ちゃん?

その言葉は突然だった。あまりの突然さに言葉がつまった。
僕が返事をする前に

「金ちゃんばっかりずるいたい。」

と1人の先輩…膝枕をしてくれた先輩に遮られた。

「ずるいって…。どういうやねん、千歳!!!」

「金ちゃんは部活以外でもこの子と一緒たい。やけど、俺は今日初対面ばい。」

僕は彼の言いたいことがなんとなくわかった。

「…つまり、少し僕と話がしたい、と。」

「そう、さすがマネージャー!!ようわかってるたい!」

…僕はまだマネージャーやるなんて一言も言ってませんけど…。

はぁ、とため息をひとつついた。すると

「千歳の言う通りやで?金ちゃん」

と白石先輩。続けてこう言う。

「自己紹介すらしとらんのやで?」

あ…。

僕…金ちゃんと白石先輩以外の名前知らない…。

疎外感が僕の心を埋め尽くす。
マネージャーをやるやらないにしても知っておいて不便はないだろう。

「そう言うわけやから…。」

_____________ガバッッ!!!


右腕で金ちゃんを左腕で僕を引き寄せ嬉しそうな声色で


「四天宝寺テニス部レギュラーで集団下校や!!!」

と言った…。

「ちょ、謙也!!!くるしっ!」

と、言うわけで集団下校をすることに…。

*     *     *

「桜ノ宮ってさ〜、関西弁じゃあらへんよな〜。」

帰宅途中、一人の先輩にそう聞かれた。

「あ、だって僕、今年…というかつい最近引っ越してきたんですよ。だから関西弁はしゃべれないんですよ」

へ〜…。と、先輩は納得する。そして、ここで思い出したように、

「あ、そういや、名乗っておらんかったな。ワイは忍足謙也や。よろしゅうな。」

「謙也先輩…。」

いかにも人柄がいい感じの人…謙也先輩はそう言った。そして、ここで1人の先輩が割って入ってくる。

「アンタ、双子の妹とは一卵性やったんやろ?」

容赦なく、鋭いところを突いてくるのは黒髪でピアスをつけた先輩だった。

「財前!!お前「なぁ、答えてや」財前!!!」

財前、そう呼ばれた先輩は質問に答えるように促す。

「どうしてそんなこと聞くんですか?」

「理由なんてどうでもええやん、別に。」

…なんて身勝手な。はぁ、とため息をひとつつく。

「ふーん…。無視かい。…なら、実力行使するまでや。」

「は?!」

彼は僕のカバンを奪い、あさりはじめた。

「おい!!!ふざけるな!!!何をするんだ!!!」

「うっさい、黙っとけ。」

何とか、カバンを奪い返そうとする僕。だけど、彼の身長、カバンをつかむ力の強さにはかなわなくてあきらめかけたその時。

「弱い者いじめはやめんか、財前。」

と言う声と同時に僕のカバンが仲裁を入れた彼の手によって僕の下に戻ってきた。

「あ…。ありがとうございます。…えーっと…。」

「石田銀や。よろしゅう。」

と、彼は名乗った。

「何するんすか、師範。」

「仲裁に入ったんや。1年をいじめたらあきまへんで?財前。」

……どうやら彼は"師範"と呼ばれているらしい。

「別にいじめてませんて。」

「せやかて、いきなりものを奪ったらあかんで、財前。」

と、いきなり割って入ってきたのは肩を組んだ2人組の先輩方。

「せやでー?財前。ユウちゃんの言うとおりやでー?」

…この人たち…同性愛者?べたべたしててなんか…




「先輩方、相変わらずキモイっすわ。」




うんうん。キモイ、キモ…い?!

いやいやいや。そこまではっきり言っちゃっていいんですか?!

「なんやてー?!」

そう言われて、財前先輩は2人の先輩にこめかみをぐりぐりとやられた。

「師範…あれはいったい…?」

「あぁ、いつものことや。気にせんとき。」

「…はぁ。」

あきれて言葉も出てこなかった。

……というか、財前先輩って、毒舌?

*  *   *

あっという間に分かれ道。

「ほなな〜!!!龍〜〜〜!!」

と、金ちゃんが大きく手を振る。それに僕は手を振り返す。

「ほな、また明日。」

「はい。また明日。」

と謙也先輩に挨拶を返す。

「龍、千歳になんかされたら言うんやで?」

と、白石先輩。

「白石、俺はそんなことせんたい。」

「…………」

……なんともいえない。

こうして皆と別れ、先輩と二人っきりになった。

「…そう言えば、先輩の名前、なんて言うんですか?」

「あ〜。自己紹介がまだだったとね。わいは、千里。千歳千里や。よろしゅう。」

「桜ノ宮龍です。よろしくです。」

「おう…っと、それよか、桜ノ宮。話がしたいと。家によってもよかと?」

「…僕の部屋まだ片付いてないんですけど…。」

やんわりと否定をすると彼はそこをどうにか、と、いった感じで頼んできて

「…わかりました…。」

…仕方なくしぶしぶ承諾した。


しかしこの後とんでもない方向に展開していくとは__________。