二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【リボーンと】月下で交わる二人のオレンジ【BLEACH】 ( No.14 )
日時: 2011/12/18 20:51
名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 4.fDTnfO)
参照: 一週間以上書いてなかった……

 巨大、その一言で表わせるのだろうか。それほど大きい、今まで遭遇したことどころか、遭遇すると仮定したことすらないほど、大きすぎる敵はそこにいた。高層ビルの高さに匹敵するどころか、上回るほどだ。その巨大な化け物の名前は、下級大虚<ギリアン>と呼ぶ。
 この世界には、死んだ者の行き場がある。だが、そこに行けていない者が、長い間放置されてしまうと、いつしか心を失って虚<ホロウ>という名の化け物になり下がってしまう。そして、その虚の中でも特に『とある事に対する渇望』が強い物が融合し、自我を失った存在、それが下級大虚である。
 そして今、つい先ほど“この世界”にやってきたばかりのイレギュラー達はその巨大かつ、愚鈍な元々生命だったものと闘っていた。相手の素性すら分からぬままに。ただ、本能に導かれるがままに戦闘を繰り広げる。
 だが、その怪物の戦闘能力は凄まじいほどに高く、彼らが太刀打ちできるようなものでは決してない。現に『それ』が今から放とうとしている大技、虚閃<セロ>に至っては彼らには止めることができるかすらも危うかった。事実彼らの持っている武器の内、ダイナマイトと匣アニマルの防御壁はすでに打ち破られていた。

「強すぎるだろ、くそっ!」

 全員が自分のリングに覚悟を込めて、炎を呼び起こす。微力ながらも防護するために自分の周りに衣状の結界を作り出す。その中で叫んだのは、獄寺という少年。彼の放つ炎には、相手の攻撃の威力を削るのに適した効果がある。
 獄寺の放つ炎の属性は『嵐』。そして、その深紅の炎には“分解”と呼ばれる性質がある。その紅炎に触れた物質、攻撃を分解、破壊して霧散させたり威力を削ったりできる。
 今にもその光線が自分たちに直撃する、そう思って身構えた彼らは硬く目を閉じたり、より鋭い目つきにしたりなど、各々さらに力を込めた。
 そのように準備をしたのだが、彼らの下に攻撃が当たるようなことは無かった。何が起こったのかと、分からない彼らはゆっくりと目を開けたり焦点を合わせた。視界に飛び込んできたのは、自分の数倍の直径を持つ破壊光線を自らのオレンジ色の炎で押さえ込むボスの姿。
 もちろん攻撃を必死で押さえ込んでいるのは沢田だ。本気を出した、というよりも、リボーンの撃った弾丸で超モードと呼ばれる状態に入った彼は先ほどから何度も絶賛する雲雀を含め、あらゆる味方よりも強い。
 皆が口々に「十代目」や、「ツナ」、「ボス」などのように声をかけたのだが、それは全く彼の耳には届いていなかった。それほどまでに、押さえ込むのには集中力が必要だった。今までで闘ったどの敵に対するよりも強い炎が。

「くっ……あれさえ使えたら……」

 今沢田はどこからか取り出したマントで彼らの、つまりは自身の仲間の身を必死で護っていた。このマントは以前に説明した、Ver.Vが、形態変化した姿。初代のボンゴレのボス、プリーモ(Ⅰ世)の名を冠する歴史上最強の言葉にかなり近い男が使っていたマント、マンテッロ・ディ・ボンゴレプリーモ(Ⅰ世のマント)。これは沢田の武器の中でも防御に特化した方の武器。よって、かなりギリギリのところだが、耐久することができているという訳だ。
 それでも、もうかなり体力的に危ないところにまで達していて、吹き飛ばされるのも時間の問題だった。漆黒のマントも、端から徐々に、ジリジリと焦がされるように損傷していた。
 その不安が的中するかのように、自我の意志とは裏腹に、不意に彼の身体から力が抜けた。拮抗して相殺していた二つの力は、徐々に怪物の方に優勢に傾く。もう少しでそこいら一帯が消し飛ばされる、そう思った瞬間に変化が起きた。
 いきなり、下級大虚の足元から天空に向かって一筋の光が奔る。まるで、その空間コごと巨大な剣戟が切り裂くように。この表現は間違っておらず、それどころか正解であり、次の瞬間にその生き物の形をした霊は、昇華するように消えていった。
 当然のごとく放たれる光線はすぐに消え失せ、町には平和が戻った。緊張感から解放された沢田は、上空に浮かびあがっている状態から、フラフラとへたり込むように降下してきた。地に降り立つと共に張りつめたモードは解除される。

「た、助かったー……」
「よくやったな。でも、さっきの光は何なんだ?」
「……俺だ」

 いつものヘタレた雰囲気に戻った彼は、地面に腰を下ろした。全霊の力を使ったのだから仕方ないのだと、リボーンも温厚に見つめる。
 そして二人の会話を遮るかのように、一人の男が乱入してきた。

「誰だ!?」

 全力を出し切った主を護るために最初に反応したのは自称とはいえ一応右腕である獄寺だった。視線の先にいた男は、おおよそ今のこの世に生きる人間とは思えない出で立ちだった。
 まず、真っ黒な着物と袴をその身にまとっていた。その上に十一と記された真っ白な羽織をさらに着ている。銃刀法違反にもなりそうな刀をしっかりと腰につけ、歴戦の猛者にも似た雰囲気を出していた。
 目の当たりにはしっかりと傷が入ってはいるが、眼球そのものには損傷がないようで、しっかりと両の眼は開いていた。髪の毛はさらに特徴的で、何本もツンツンに尖らせてウニのようにしており、なおかつその全ての先端に鈴がついていた。

「十一番隊隊長、更木 剣八(ざらき けんぱち)」

 それだけ自己紹介して、雲雀と同じような闘い好きの者の目をしながら彼は不敵にニヤリと笑った。





はい、次回に続きます。
ほったらかしにしてた謝罪に一気に一話更新です。
ちょっと文字数いつもより500文字程度少ないんですけどね。
ついにBLEACHのキャラ登場です。これでタイトルに偽りは無い……はず?
一護とか早く出したいですね。
次回に続きます。