二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼夢小説〜生きる者達よ〜 ( No.12 )
日時: 2012/01/01 22:05
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

6話 性別の問題

此処は西本願寺の広間。新選組の屯所である。
水「あー、やっぱり気づいてなかったんですね。」
今さっきの彼女の—千幸の発言に、新選組幹部達は動揺していた。
土方、山南は頭を抱えてため息をついているし、斎藤は一見動じて
いないように見えて、微かに目を見開いていた。近藤、永倉、原田、
藤堂は、きっちり目を開き口をパクパクさせている。千鶴は、隠して
いた事が後ろめたいのか、俯いたまま。

沖「へぇ、君、女の子だったんだ?」
沖田一人は、全く動じていない。わかっていたのか、興味がなかった
のか。
山「悪い予感ほど、当たるものですね…。」
土「まったくだ…。」
どうやら2人も気づいていたようだ。

しかし、ほとんどの幹部が気付かないのも無理はなかった。何せ、
千幸の男装は、見本として写真にとってもいいくらいだった。
水「私は、水月千幸と申します。れっきとした女で、十八です。」
丁寧に礼をする姿を見ていると、服を変えたらどんな娘だろうと思う。
平「女かァ……へぇ。」
原「流石にわからんかった…。」

水「フフっ。で?私を運んで手当てまでした理由は?その子—千鶴ちゃ  んを助けた礼…だけじゃないですよね?」
その問いかけに、幹部全員が顔を引き締める。
水「私なりの推測、言わせてもらいますね。まず、千鶴ちゃん。」
彼らの沈黙を肯定とみなし、話し始める。最初に千鶴の声をかけた。
雪「あ、はいっ!」
水「貴方の剣の腕は?」

雪「えっと。護身術くらい…なら。」
その答えに優しく頷いて、話を進める。
水「私の推測ですが。彼女に剣の腕はどちらかと言えば、ないのでしょ  う。でも、貴方達は彼女をあの場に連れてきた。何故です?」
全「…………」
誰も答えず、広間に沈黙が落ちる。それをわかっていたのか、進めた。

水「私は、戦力になるからだと最初は思いました。でも、すぐ違うと
  わかった。それは、土方さんの行動です。」
土「行動、だと?」
水「はい。貴方は彼女に『下がっていろ』と言い、私が彼女を見続けて
  いると気付いた時、背に隠しましたよね。つまり守った。強い人な  ら、守らなくてもいい。そこで、彼女は戦力じゃないと知った。」

沖「君、中々鋭いね。」
笑いながら沖田が褒めるが、その眼は笑ってなどいない。むしろ、千幸に殺気を向けている。
千幸は、その刺のある視線を軽く受け流し続けた。
水「まとめると、彼女は皆さんの守るべき対象で
  あり、屯所に置いておけない理由がある。」

そこでいったん言葉を切り、千幸は視線を一つの
場所に向ける。
水「その理由の一つが、貴方なのではないかしら?」
視線の先には、新選組総長、山南敬助がいた。
山「それは、どういう意味でしょう?」
その言葉に千幸は瞳を細め、静かに睨んだ。

水「惚けるな。貴様、人ではないな!?」
いきなり変わった千幸の言葉遣いに、幹部達は驚き
ながらも、その発言内容にも驚いた。
土「テメェ………」
水「私、貴方のような方は嫌うんです。それは予め
  言っておきます。」

沖「君、何を知ってるの?」
沖田が、真意を確かめるように千幸を見る。
水「変若水、羅刹。これがあなた達の秘密でしょ    う?」
近「……何故、知っているんだね?」
水「私が、雪村綱道と間接的に関わっていた…と
  言えば、わかって頂けますか?」
雪「っ!父様を知っているんですか!?」

その言葉に身を乗り出してきたのは、千鶴だった。
水「千鶴ちゃんの…お父さん?(そんなはず…)」
千鶴と綱道の間に実の親子関係などあるはずないの
だが、それは今、知る由もない事だ。
斎「局長、如何しますか?」
少しの間黙っていた近藤が、ついに口を開いた。

近「君の身は雪村君同様、新選組預かりとしよう!」