二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼夢小説〜生きる者達よ〜 ( No.22 )
- 日時: 2012/01/10 15:13
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
8話 深夜の命令
千幸は早速、案内された部屋の明かりをつけて見た。
(ふぅん、いい部屋ね。さすが西本願寺…)
想像とは違い、幹部が使うようないい部屋だった。
水「千鶴ちゃんと同室でもいいのになー。」
これは部屋の中でこそ言えること。幹部の前で行ったら、すぐに
怪しまれてしまうだろう。
水「さてとっ……」
そのまま布団を敷こうとはせず、部屋の奥についている小窓に向かう。
そして、小窓の障子を開け放ち、夜空を見たまま喋り始める。
水「花音、いるか?」
?「…千幸様、ここに居ります。」
今は4月。温かい夜風と共に入って来る少女の声。本人は、小窓の下、
土の上に跪いていた。忍び装束に身を包み、遠目では全く分らない。
水「そんな所にいなくても、私と会話はできる。立たないのか?」
花「私は、このままで結構です。それよりご用件を?」
苛立ちから急かしたのではなく、時間短縮の為に聞く声音。その言葉で
千幸は、何の為に彼女—水月花音を呼んだか思い出した。
水「あぁ、すまない。忘れるところだった。」
花「千幸様……」[呆
完璧に呆れていたが、動かず命令を待っている。何と優秀な部下だ。
彼女—水月花音は千幸の部下で、水月家の分家にあたる。
双子の妹、李音と共に、千幸の側近として役目をはたしていた。
水「命令だ、花音。千姫様への言伝をしてほしい。」
コクンと頷くと、伝言を聞く用意をする。といっても、ただよく聞ける
ように集中するだけ。
水「まず——————[伝言中]—————。以上だ、覚えたか?」
花「千幸様、私の記憶力をお疑いですか?」
先程までとは違い、少しムッとしたような返答で、千幸は苦笑した。
水「そうだな、すまない。では頼む。」
花「畏まりました。我が主、千幸様。」
水「そんなに畏まるな。主従関係と言ってもお前達とは従姉妹だろ?」
花「……失礼。」
千幸の話に相槌を打つことなく、一言残し風と共に消え去った。
水「千姫様、ご理解頂けるかしら?フフ…」
ぱたんと障子を閉めた。
その夜、千鶴はなかなか寝付けずにいた。
雪「どうして千幸さんは、傷の事を……」
土方に報告した方がいいだろうか。という思いが浮かぶ。
(でもそうしたら、私の体質も話さなきゃいけないよね…)
他に解決策も浮かばない。千鶴は善人な性格で素直なため、千幸を
問い詰めるというような過激な考えが浮かばないのだ。
雪「寝ようっ。」
これ以上考えていたら益々眠れなくなると思い、千鶴は布団を被った。
(明日寝坊して、皆に迷惑かけたりしちゃ駄目だもの…)
やがて眠りにつくが、彼女の頭の中は混乱していた。
(千幸さん……)
いつも長々とスイマセン。今回は1056文字になりました!
うわ……って感じです。