二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼夢小説〜誠に生きる者達〜 ( No.26 )
- 日時: 2012/01/15 10:33
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
久々の更新です。
9話 朝食と鬼の声{4月末}
朝早く聞こえた物音で、千幸は眼が覚めた。誰かが朝食の準備等を
しているのだろう。
水「んんッ。くぁ〜、朝か。」
布団を出て早々に着替えをすますと、千幸は部屋を出た。今は
4月の末。障子をあけると、部屋には暖かい風が入って来る。
水「うん、今日もいい天気!」
目の前は小さな庭で、平隊士も少なからずいた。千幸が日の当たる
廊下に立って伸びをしていると、右から声がかかった。
雪「あ、ちゆk…水月さん、おはようございます。」
隣室の千鶴が挨拶をしてきた。「千幸」を慌てて「水月」に直し、
平隊士に聞こえていないかとちらちら庭を見る。
水「雪村さん、いい朝ですね。」
千幸も千鶴を名字で呼んで、挨拶を交わす。そんな二人に気付いた
平隊士の何人かも、会釈などをして通り過ぎた。
(日が経つのは早いなぁ)
千幸が新選組屯所に来てから、早2週間が過ぎようとしていた。
水「そう言えば、今日実力見るから道場に来いと言われて……
いたような?」
雪「え、本当ですか?だったら行かないと!」
水「いや、まずは広間に言って朝食とらないと。」
雪「そうですけど、時間はいつですか?」
朝起きたばかりであまり働かない頭を動かし、ようやく思い出した。
水「あ、朝食の時に詳しく教えてもらうんだった。」
雪「なら良かったですね。行きましょう。」
千幸と千鶴は、二人で広間への廊下を歩いて行った。
平間に差し掛かった時、唐突に声が聞こえてきた。
平「ああーっ新八っつぁん!それ俺の沢庵!」
原「ったく。毎日毎日、お前らよく飽きねぇな…」
広間では、永倉と平助のおかず争奪戦が繰り広げられているらしい。
雪「あ、あはは…」
水「まーた、もう。」
十日程前から広間で食事を取るようになった千幸は、この争いにも
いい加減慣れてきた。原田の言うようによく飽きないものだと思う。
雪「おはようござい…」
水「二人とも、外まで声が…」
二人がそんな事を口にしながら広間に入ろうとした時だった。
平「あ!俺の鮭っ!!」
平助が永倉と取り合っていた鮭が、平助の箸を滑り千幸の顔に飛んで
来ていた。千幸の後ろには千鶴が立っている。
そして、千幸の額に鮭がペトッと…付く事は無かった。
水「っと。」
千幸はくるりと後ろを向き、千鶴を抱えてその場に伏せた。
鮭は二人のはるか頭上を超えていき……庭にポトッと落下した。
幹部達の間から、「おお—…」という声が漏れた。千幸の瞬間的な
技を見たら、感嘆くらい誰でもするだろう。
そんな空気に、的確ともいえる突っ込みを入れてきたのは土方だった。
土「新八、平助…食い物を無駄にするんじゃねぇっ!!!」
それはもう、御尤もである。
平「い、イヤ土方さ…」
永「これは運ってのg…」
タラタラと言い訳する二人に、鬼の雷が落ちた。
土「問答無用だぁっ!!」