二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼夢小説〜誠に生きる者達〜参照800超感謝! ( No.63 )
日時: 2012/03/30 17:56
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

16話 新選組の闇

千鶴のまっすぐな視線に見つめられ、松本は彼女に話すべきかどうか
迷ってしまう。悩んで隣の近藤に視線を向ける。
松「近藤さん…いいのかね?」
近「…お願いします。」
重々しく近藤が口を開いた。その言葉に一つ頷くと、松本は彼女達の方に向き直り、静かに語り始めた。
松「……行動さんが新選組で行っていたのは、『羅刹』を生み出す
  実験だ。ここの隊士を使ってね。」
雪「らせつ…」
松「そして、その羅刹を生み出したのは、『変若水』という薬だ。」
雪「おちみず…」
千鶴は聞き慣れない言葉を一つずつ確かめるかのように口に出す。
水「でも羅刹になると、人道から外れた行いをしてしまう。そうで
  すね?」
松「……君達がそこまで知っているとはね。」
水「私達は目撃者です。今の話と、彼らを見た時を思い出せば、簡単に
  真相は見えてくる。」
大きくショックを受けている千鶴とは違い、千幸は淡々とした声音で
話していた。
雪「どうして父様は、そんな研究を……?」
松「どうしてかはわからないが、あんな研究だからこそ、良心に耐えか  ねた彼は、ココを去ったのだろう。」
一息ついてから、松本ははっきりと述べた。
松「綱道さんがいないなら、羅刹の研究は中止だ。」
その言葉に驚いた近藤が、目を丸くして意見する。
近「あれは、幕府の命ですぞ。」
松「駄目だ。危険すぎる。それにあの研究は、人道的に見ても許される
  もんじゃない。近藤さんだって分かってるだろう。」
近「…………………」
心に同じような思いがあったのか、近藤は黙りこんでしまう。
水「私達そろそろ。ありがとうございました、先生。」
千幸が別れのあいさつをすると、千鶴も頭を下げた。
松「ああ。…千鶴君、君のお父上は、尊敬にあたる人物だよ。だから、
  君も信じなさい。」
雪「松本先生…はい!」
もう一度深く頭を下げてから、二人は部屋を後にした。