二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼夢小説〜生きる者達よ〜 ( No.9 )
日時: 2011/12/20 21:11
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

5話 新選組

土「千鶴、無事か!?」
雪「は、はい!でもっ、この人が!」
千鶴を庇った千幸は、彼女に覆いかぶさったまま気を失っていた。
平「いつつ……吹っ飛ばされたァ…。」
永「大丈夫か平助?」
平助も、先ほど千幸に回し蹴りを食らったところなのである。

沖「で、どうするんです?この子。」
土「……屯所に連れ帰る。」
斎「よろしいのですか?」
少々虚を突かれたように斎藤がたずねる。
土「あぁ、気になる事もある。死体の処理は、山崎がやってくれる。」
原「じゃ、俺が運びますよ。」

原田が肩に千幸を担ぐのを確認して、土方が声をかける。
土「戻るぞ!」
浅黄色の羽織を着た男達は、夜の京を駆け戻った。



雪「……じょ………ます。」
かすかに耳に入って来る、聞き覚えのある声。
水「ここは……?」
寝かされた状態で、千幸は眼を開けた。
雪「大丈夫ですか。」
視界の端に映ったのは、先ほどの少年だった。

雪「傷を圧迫しないようにうつ伏せで診断したんです  が、もう塞がったので仰向けに。」
水「そう。…ありがとう。」
その言葉に、少年はブンブン首を横に振る。
雪「そんなっ!庇って下さって、そんな大怪我を…」
水「どうってことないよ。君もわかってるでしょ?」

部屋の中にしばらく沈黙が纏う。と、少年が顔を上げ
雪「あの……貴方の体質…」
水「幼い時からそうなんだ。気にしないけど。」
雪「気に、しないんですか?」
水「あぁ。あ、君の名前は?」
雪「雪村、千鶴です。」

水「そっか、宜しく千鶴…ちゃん!」
雪「あ、はい。……って、ええ!?」
千鶴が驚くのも無理はない。今千幸は、<ちゃん>と
言ったのだ。
水「僕は水月千幸、宜しくお願いしますね。」
雪「え、僕?…女性ですよね??」

そこで千幸は始めて気付いた。彼女は傷の診断…
つまり、体を見ている。性別は一目瞭然だろう。
水「ばれちゃったか…。そう、私は女。」
雪「よかった。あ!広間で皆さんが待ってます。」
水「そっか、じゃあ案内してくれる?」
そこで個人談を打ち切り、彼r…彼女達は広間へ。



水「ここ?」
雪「はい。失礼します。」
中に入ると、幹部達が勢ぞろいしていた。
土「来たか。」
用意されていた座布団に座り、幹部たち全員の視線を
浴びる。上座の人物が口を開いた。

近「俺は局長近藤勇。まず、雪村君を助けてくれた
  事に礼を言おう。」
そう言ってから、頭を下げる。
水「いえ、僕は誰も殺す気なんて無かったですし。」
この時の千幸の声は、完全に青年の声。
土「次だ。テメェ、何であんな時間に帯刀して出歩い  ていやがった?」

水「そんな顔で睨まないで下さい、怖いなぁ。」
鬼の副長土方歳三に対してこんな態度を取る千幸を
見て、幹部連中も流石に驚き、目を見開いた。
水「あー、それと、一つ言わせて下さい。」
一拍の間を置いて、千幸は声を普段の女物に変え、
微笑んで言い放った。

水「女性に向かって、テメェ、は無いでしょう?」
雪・沖以外全員「っ!!???」
その一言で、その場にいる全員が凍りついた。