二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼〜新選組の涙〜 ( No.71 )
日時: 2012/06/14 16:55
名前: カノン (ID: KjYpxfgY)



第五話「誰かを思う心」

長い間、嫌な空気が流れていた。
それに耐え切れず、沖田は口を開いた。
「とりあえず、一緒に来てもらえる?」
相手の返事も聞かずに歩き出す。
少女はあわててその背中を追う。
もちろん、2匹の虎も少女の後を追う。

土方のいる部屋は、角を曲がってすぐだった。
戸を開け、中に入るとキレる寸前の土方と近藤、山南、
斎藤、藤堂、原田、永倉がいた。
沖田はその中の空いているざぶとんの上に座った。
少女は中に入り、戸を閉めようとしたが千鶴が閉めてくれた。
中央の座布団の上に座り、その両側を2匹の虎が座る。
少女はまっすぐ土方を見る。
土方が怖いと思わないのだろうか?。
しばらくの沈黙が続いていたが、少女はひるまずに土方を
見続けていた。
「で、なんでお前は屯所の中に入ってきた?」
ようやく土方が口を開く。
当然、しゃべることもできずに、また沈黙が続く。
少女が話すことができないことを知っている沖田は、
面白そうに笑っている。
「(わかるでしょ、ふつう・・・)どうします?殺します?」
悪戯でいったつもりだったが、少女はその言葉に怯える。
「いや、何でここに入ってきたかを聞くまで殺せねぇ。どうして
 入ってきた?」
土方はもう一度問う。
少女は問いに答えることができない。
それを見ていた2匹の虎は、少女を見上げると一瞬悲しそうな顔を
して、1匹が少女の前に出る。
『守ってくれないか?桜様を・・・・』
虎がしゃべった。
「・・・・・!?」
みんなは驚いてものが言えない。
するともう一匹の虎も皆に聞いてきた。
『守ってくれぬか?桜様を・・・・』