二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: セブンズコード!【犬夜叉】 ( No.2 )
- 日時: 2011/12/19 19:21
- 名前: 夏雲あざみ ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
01 Do not joke!
目を開けると、其処は漫画の正解でした。
「ってありえるかこんのアホお!ふざけんな突然そんなモンに飛ばされてたまるかぁ!」
壮絶な独り言を大空に向かって叫んだ。だが反応は無いので馬鹿みたいに空しい。
近くの木の上にスズメが止まって鳴いていた。つい道にあった石を掴んで投げたくなったが、やめておこう。
確か、
記憶によると私はゲームセンターで取れもしないユーフォキャーチャーにどかどかとバイトのお金をつぎ込んでた筈だ。
そんでそんままのノリで友達とカラオケで熱唱してた筈だ。
それから、それから…?
何回思考を重ねても出る答えは同じ。゛突然何処かに飛ばされた゛
夢だといいがどうやってもこの現実感は拭えない。ほっぺたつねると痛いし小指を木にぶつけてみても痛い。
「……ちょっともう放置プレイとかやめてよホント。」
と言う訳で、(何がどういう意味なのかさっぱり分からないが)めでたく異世界に飛ばされたっぽいです。私。つまりね、よおくよーく考えて見たんすけど、記憶によると此処はアレなワケ。とある有名な漫画の世界に酷似してるんです。
その名とはつまり誰もが知ってる国民的漫画、あの犬夜叉なんっすよ。
平面でしかなかった世界の筈なのに、目に映るのは記憶にあるその通りの光景。色彩も、色褪せて古びた井戸も、全部、ぜーんぶ、同じ。こんな事って有り得る訳が無い、そう生唾を飲み込んだ。
仁王立ちするのすら疲れたので腰を下ろす。視界に映るのは井戸と森と草だけで、一人ぼっちは案外心細い。
「てゆーかどうやって帰りゃいいんだよ。」
うー、だの、あー、だの、意味の分からない嘆きを言ってみた。
その度また何も答えてくれない青空が憎らしくなった。雲ひとつ、無い。
カラオケ入ったのが・・・えーと、何時だっけ。
ぐぅ、と鳴ったお腹をさすりながら、空腹を感じてどうにか私の腹時計は正しいはずと納得する。
「・・・・・・うん、アレだ。多分5時から8時までくらいの間だきっと。完全アバウトだけど。」
そういえば、と鞄の中からお弁当をごそごそと取り出す。今日昼に食べる予定だったが美味しそうだったと言う理由で結局まっちゃんとパスタを食べたのだった。
食べる予定もなく完全お陀仏状態だったお弁当だが、こんな事態になるとは。有難くいただきます。
「腹が減っては戦は出来ぬ、ですよー。」
ピクニックみたいでこれはこれで良い風景かもしれない。
ファンシーな黄色い柄のお弁当箱のフタを外す。たこさんウインナーに梅干が乗った日の丸ご飯、ほうれんそうと冷凍食品が詰まっていた。ごくごく一般家庭のお弁当だ。
・・・・・・潰れて黒ずんでいる卵焼きを除けば。
私が焼きましたごめんなさい卵さん。少しの謝罪をした。
レジャーシートなんぞ持ってきてるわけ無いので膝の上に乗せながら手を合わせる。
梅干をぽい、と箸で掴んで蓋に乗せた。梅干は嫌いだ。あの酸っぱさなんなのどうにかしろって思う。
いつもはまっちゃんが美味しい美味しいと言いながら食べてくれるのにな。
お弁当を食べ終わり、空腹を満たした所で、さて、と考え出した。
夢?うーん、まあそれは置いといて、夢だろうが何だろうが行動起こしたいなあってのがある訳で。寒いしね。って事はやっぱ何かしたいって気持ちがあるんだよな。
なんだかんだで不満を漏らしながらも、私は、現状を思ったよりも前向きに考えていたらしい。
大体こんなの可笑しいだろと思いつつも、現実ならどうしようと思いつつ。
もし此処が本当に現実だったなら真剣に考えたと思う。その時はまだ8割方ちょっと変な夢だろうとでも考えていて、これから起こることなんて少しも予想がつかないでいた。
そもそもこれから生きて行けるって何故かは分からない確証があったし、ひょっとしたら此処は現実で、犬夜叉の登場キャラクターに会えた嬉しい、なんて、淡い希望も少し在った。
……行くか。どうしようもない。此処に留まってるだけじゃ、全然進歩無いし、最悪の場合も考えられる。人のいる場所に行こう。
立ち上がってスカートの汚れを払う。案外大きく見える森の中に、一歩ずつ、足を踏み出した。