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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 儚く消へるは鬼の夢 ( No.2 )
- 日時: 2011/12/25 16:55
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
零話 「始まり」
こつん・・・こつん・・・
此処は新選組の屯所。
今は子の時あたり。
廊下を誰かが歩いている。
静かに、ゆっくりと。
辺りはもう暗く、屯所内でも明の灯っている部屋は少ない。
その内のひとつ、土方歳三の部屋の前。
足音の主はそこで止まる。
土方歳三は勿論気が付いた。
障子に映る影は、見慣れたものだった。
土「千鶴?なんだ、起きてたのか。何か用か?」
何も警戒せず、障子を開ける。
声を掛けながら。
それが全ての始まりだった。
確かに土方の部屋の障子の前にいたのは雪村千鶴だ。
だが、その雪村千鶴は土方歳三の知る者ではなかった。
その雪村千鶴は、土方が障子を開けた瞬間。
普段はほとんど握ることもない自分の刀を持って。
土方に斬りかかった。
音もなく鯉口を切り、抜刀し、襲い掛かる。
だが、土方に通用する筈もなく、すぐに受け止められる。
土「千鶴!?どうした!おい!?」
必死に対応しながら聞くが、千鶴は答えない。
もう一度刀を振り下ろし、刀同士が交わりあう音が出た瞬間、千鶴の刀へかかっている力が減った。
そして顔色が蒼白になる。
よほど大きな音だったのか、周りで寝ていた幹部達も集まりだす。
そして、土方と千鶴が対峙している場面を目の当たりにする。
千鶴「わ・・・私、何してッ・・・」
千鶴はそこで気を失った。
幹部が見ている中で。
土方の腕の中で。
その時、風もないのに、さぁっと草木が揺れる。
それを知る者は、夜空に浮かんでいる月や星だけだった——。
【続く・・・
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