二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 儚く消へるは鬼の夢 ( No.28 )
日時: 2012/01/21 20:54
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

玖話 「姉弟」


千澪「雪村千鶴を誘拐したとして・・・私に利益は有るの?」

千澪は笑顔で聞いてみた。
天霧は答えが用意してあったかのように素早く答える。

天霧「子孫を残せるという利益ならば」
千景「良い事ではないか」

千景も賛同して言った。
千澪は表情を崩さずに聞く。

千景「そういう訳だ。俺の言う事位聞けるだろ?」

だが、千景がその言葉を言った瞬間に千澪が表情を変えた。
笑っている顔から、眼だけ黒くなる。
鬼に変わった時の様な霊気が千澪から出ている。
千景はその状態の千澪を見て眼を見開いた。
千景だけではなく、天霧や匡もその霊気に怯えた状態だ。

千澪「改めなさい千景・・・。それが姉の私に対する態度か?」

声色は同じだが、言葉に殺気を感じる。
千景は暫く声も出ずに呆然としていた。
が、言い捨てるように言う。

千景「フン。悪くなど思っていない。最早俺とお前は別の家系だ」
千澪「あら・・・?その首飾りは本家系の印なのだけれどねぇ」

千澪は自分の首に巻いている首飾りと、千景の首に巻いてある首飾りを指差す。
色違いの同じ首飾りだ。

千澪「自惚れは身をも滅ぼす事になるわよ。千景」

千澪の手は既に刀に添えられている。
何時でも抜刀し、千景を襲える体勢だった。
静かに微笑みながら刀を手に持った。
千景も警戒して刀を持つ。
そして次の瞬間、同時に抜刀し、対峙する形になった。

千澪「あらあら・・・。相変らず刀を片手で持つのね。昔からの癖は直らないかしら」
千景「フン。余計な世話だ」

千澪も千景も対峙だけで終わりにし、刀を鞘に納めた。
千澪は其の侭身を翻して去って行く。
匡が何時もの口調で言った。

匡「おいおい風間。良いのかよ?姐さんに頼まなくて」
千景「五月蠅いぞ不知火。おい千澪」

千景の呼び掛けを聞くと、そっと千澪が振り返る。

千景「頼んだぞ」
千澪「貴方、私が鬼の頼みを余断れないのを知っていて言っているでしょう」

千澪は静かに言う。
そして、千景や天霧、匡に背中を見送られながら、見えなくなった。


  【続く・・・