二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 儚く消へるは鬼の夢 ( No.32 )
- 日時: 2012/03/04 17:46
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
拾話 「千澪と隊士と千鶴」
紫の着物を着た、千澪が居た。
何処からか鳴る鈴の音を見に纏い、只前だけを見つめて歩く。
他のものになど興味なしに。
ふと路地裏に眼がいく。
其処には、毛繕いをしている猫がいた。
千澪「猫…」
千澪はさっとその猫を抱きかかえると、傍にあった茶屋の出椅子に座る。
猫は膝の上に乗せた。
そっと撫でてやると、気持ち良さそうにされるがままになった。
千澪「猫は可愛くて良いわね…。千景も猫のようだったら良いのに」
ふっと表情を和らげる。
だが、千澪は何かの気配を感じて視線を猫から外す。
そこには、新選組の隊士が居た。
千澪はにやりと笑う。
そして、ひっそりとした声を出す。
千澪「あれを利用してしまいましょう」
ゆっくりと立つと、猫が膝から飛び降りた。
千澪がその猫に笑い掛ける。
そして、小さい声で「またね」と言うと、たたたっと走っていってしまった。
その猫を見送ると、千澪は目をつけた隊士の方へ歩いていく。
そして、とんとん、と肩を叩いた。
隊士「はい?」
千澪「今日は。お時間宜しいですか?」
にっこりと笑い掛ける。
—————
左「おう、どうだった?」
隊士「特に異常はありませんでした」
左「そうか」
さっきの隊士は、原田左之助率いる十番組の隊士だった。
左之助は、隊士の姿を確認すると言った。
左「よし、戻るか」
左之助が先頭にたって、屯所に戻っていく。
一人の隊士は、静かににやりと笑っていた。
全てを見据えたような眼で、左之助を見ながら。
千鶴「あ、原田さん。お疲れ様です」
左「おう。お前もな。そろそろ戻ったほうがいいぜ」
千鶴「はい。もう少しですので」
左之助の言葉に、千鶴が微笑む。
屯所に着いた事で、隊士達の表情も和らいで、普通に喋り始める。
一人、隊士が寄って来た。
隊士「あ…あの、原田組長」
左「ん?どうした」
隊士「あ…いや、やっぱり何でもないです」
曖昧に笑うと、一礼して走っていった。
千鶴も、仕事が終わったようだった。
千鶴も左之助に一礼すると、走っていく。
左之助は何だか可笑しな感じにかられ、首を傾げた。
千鶴「ふう…」
自室に戻った千鶴は正座して落ち着いていた。
その時、すうっと障子が開く。
さっきの隊士が顔を出した。
千鶴「あ、今日は」
隊士「今日は…少し、いいですか?」
千鶴はきょとんとしたが、直に部屋に隊士を入れた。
隊士は笑みを浮かべながら部屋に入る。
そして、千鶴が障子を閉めた瞬間。
その隊士が抜刀して、千鶴に襲い掛かる。
千鶴「きゃぁぁあ!!」
千鶴の悲鳴は、屯所中に響き渡った。
【続く…