二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 儚く消へるは鬼の夢 ( No.6 )
日時: 2011/12/25 18:13
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

壱話 「舞妓」


隊士「何者だ!新選組の屯所に何か用か!?」
?「せやから、昨日島原に来た原田左之助はんの忘れ物があるさかい、届けに来たゆうてますやん!」

昨日の今日で、屯所内は騒がしい。
しかも今日は、島原の舞妓を名乗る者が、左之助の忘れ物を届けに来たと聞かない。
実際に本人に渡さねばならないと言うし。

千鶴「どうかされました?随分騒がしいようですが・・・」
?「あんたも此処の方どすか?原田左之助はん居りまへんk・・・」

そこで止まった。
まるで千鶴の事をじっくり確かめるようだ。
千鶴は昨日の事でまだ顔が青白い。
気分も決して良くはない。

左「お?千緒(ちお)じゃねぇか。どうした?」
千緒「あ・・・左之助はん。昨日島原におこしやすった時、刀をお忘れしとって。届けに参りました」
左「おー、悪ぃな。」
千緒「大切なモノなんでしょうに。しっかり持っておいて下され」

千緒と呼ばれた舞妓は、はんなりと笑う。
楽しそうに。
だけれど、ちょっとした警戒心も忘れていない。

千緒「して・・・其方の方、お名前は?」
千鶴「え、私・・・ですか?」

千緒は、千鶴の方を見ずにこくりと頷く。

千鶴「私は・・・雪村千鶴です」
千緒「そうどすか。千鶴はん・・・。よろしゅうおたのみもうします。今度、一緒にお茶でもどうどすえ?」
千鶴「えっ・・・。お暇があったら是非・・・」
千緒「決まりどすね。ほな、失礼」

千緒はまたはんなりと笑い、一礼して去っていく。
こっぽりをからんからん鳴らせながら。

千鶴(何故急に名前なんか・・・。しかも、お茶?不思議な事ばかり。まぁ、悪そうな人じゃないし良いか)

からん・・・からん・・・
細い路地裏。
こっぽりの音が鳴り響く。
音の主は千緒。
壁に寄りかかってふっと笑う。

千緒「やっぱりね・・・。乗っ取ってみて確信が持てなかったから近づいてみたけれど、当たりね。島原であいつ等にも接触できるし、運が良いわ」

からん、からん
そしてまたくすくす笑うと、歩き始める。


  【続く・・・