二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナGO〜なくしたくない物〜 コメください((泣 ( No.437 )
日時: 2012/03/28 12:50
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)
参照: http://www3.atpaint.jp/kakiko/src/kakiko1332389297627.png/img/

64.ズキリ……



冬香さんの車の中。みんな神妙な顔つき……って、俺もなんだろうけど;;
はりつめてんなぁ、おい。

ユ(つか、キャプテンはなんでいきなり……。)
友『お兄、お兄。』

友撫がひそひそ声で話しかけてきた。ぐいっと顔を近づけて、ふたりでコソコソ話す。

ユ『なんだよ?』
友『神童さんが病室を抜け出した理由だけど……。』

おお、友撫、俺の知りたいこと言ってくれるんだ。つか、俺がなに考えてるか分かったのか?
神ってるなww

友『たぶん、天馬さんが提案した《ドラゴンリンク》に対抗する作戦のことだと思う。』
ユ『えっ、《ドラゴンリンク》が出たのか?』

ずいぶんとはやいお出ましだったな……。

友『うん……でね、天馬さんがとった作戦って言うのが、化身どうしをぶt ユ『それはダメだろー……。』あ、分かった?』

最後まできかんでも、よー分かったわ。
化身どうしをぶつからせるって……ドラゴンリンクは全員化身使い、こっちは天馬、剣城、錦先輩、西園だけだろー……。
体力の消耗ハンパないっつーの……。

ユ(まあ、フツウの奴はそう思うか……。天馬も、まだキャプテンとして経験も未熟だし……しかたないか。)
冬「ついたわよ!」

わああっ! いきなり声上げないでくださいよ、冬香さん!!

冬「さ、降りて! 友撫ちゃんは車イスだけど、降りれる?」
友「はいっ! さあ、お兄! かつげ、かつくんだっ!!」
ユ「かつぐんだ、じゃねえ!! けっきょく俺かよッ!」
神(愉快だ……;;)

ん? 神童先輩、今へんなこと思わなかったか? まあ、いいけど。
つか、友撫の車イス重ww すげww

ユ「や、やっと下ろせた……。」
友「お兄、なさけないぞっ。」
ユ「おまえなぁ〜っ。」
冬「ほら、愉快にのんきにしていないで、来てっ。」
ユ(愉快?)
神(言ったよ、ほんとのことww)

神童先輩、いま笑ってた? ま、いっか。
おれたちは、ドームにいっきにかけこむ。友撫は車イスのコントロール、超得意だから、猛スピード出しでもついてこれる。……すげww
そして、ドームからフィールドが見えるところまできたけど——……

ユ「くそ、おそかったか……。」

もうみんなたおれてる。ただひとり立っている天馬といえば、ひざをついて目になみだをためていた。
今さら気づいたか……。

ユ(まあ、化身のことについて、くわしく理解してないもんな……。)
神「天馬!」
ユ(ちょ、ここで呼びます!?)
ユ「友撫、ちょっとここ、移動しよう!」
友「へ!?」

俺は友撫を引き連れて、コソコソ退散。

神「松風天馬!」

神童先輩のフルネームでのさけび。
いきなり引き連れられて、しかも陰にかくされた友撫は、ワケも分からずもあってか、カンカンに怒ってる。

友「もうっ、なんなのよっ。」
ユ「来る必要、なかったみたいだな。」
友「へ?」
ユ「大丈夫だよ、俺なんかがいなくても。天馬や輝、神童先輩たちは、全然やっていける。むしろ俺がいた方がオジャマ虫だっつの。」

壁にもたれながら言う。友撫と言えば、ただポカーンと口を開いたまま。

友「え、なんで? だって、さっきだって、天馬さんの……。」
ユ「うん、あれはミスかもしれない。でも、失敗してこそ、学べる物だってたくさんある。天馬たちは、そういうことをへて、今がある。だから、あいつらにとっちゃ、失敗が成功の調味料、ってとこか?」

ニヤッと笑って友撫の顔を見ると、苦笑してる。んー、まあ、こんなへんなたとえする兄は、あまり好ましくないかな〜。
あ、俺ほんとの兄ちゃんじゃないっけww

友「で、でもっ、試合は……。」
ユ「見なくも、もう結果は見えてる。天馬と神童先輩が対面したし、雷門だってあんなでおじげずくような人たちじゃないことくらい、とっくに分かってるからさ。
   あとは、みんなにまかせよう。な?」
友「…………。」
ユ「なにだんまりしてんの?」
友「お兄……カッコつけすぎ!」

ベチンッ!!

いってぇっ! 友撫にほっぺたたたかれた! しかも両方!!

ユ「ちょ、友撫いた……。」
友「友撫も……お兄のこと、いっぱい知ってるよ? いっつもガマンしてたり、人一倍苦労してたりすることくらい、知ってるんだからねっ。」
ユ「ちょ、いたいっつーのっ。」
友「もうっ、ウジウジ大魔王! 友撫は試合、見てくるからね!」

友撫はプリプリ怒りながら、車イスの車輪をおしながら、神童先輩のちかくまで行った。……今のが「ハクション大魔王」のパクリにきこえたっていうのは、秘密にしておこう。

ユ「だって、俺なんていらないじゃん……。」

ぺたんとすわりこんで、もう一度壁によりかかる。
分かってるよ。みんな、もう俺と一緒に居るのが、最近あたりまえになりはじめてきたことくらい。でも、いずれは高校行って、大学行って、就職して。
離れていっちゃうくらいなら、一緒にいないほうがいいんじゃないかなって。
だから、団結系のプレーとか、協力してなしとげたときの喜びとか、ここ数年、味わえなくなってる。管理サッカーのせいもあるかもしれないけど、そのまえ。兄さんがいなくなったとの俺って、まわりから見たら、どんな感じだったのかな。


明るい自分をいつわって。
じつは、そんなじゃなくて。
ほんとはいつもさみしくて。


自分がこの先、独りになることくらい、知っていて……。

ユ「自分に時間がないことくらい、知ってるよ、友撫…………。」

わあぁあああぁあ!   ズキリ……

会場が盛り上がるのと同時に、また一瞬、頭が痛んだ気がした。