二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照800超感謝】 ( No.113 )
日時: 2012/05/15 21:42
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

54話「奪い、返し」

鬼達の消えた場所で、幹部達は一時の間動く事ができなかった。
永「…………くそっ!!」
土「うっ、ぐ……」
原「土方さん!大丈夫か!?」
斎「山崎、来てくれ!!」
様々な声が響き渡る。それに釣られてか、先程まで眠っていた君菊も
姿を現した。
君「空、土方様!?千鶴様はっ?…一体何が…?」
君菊の言葉に、幹部達は誰一人答えられなかった。
空「う、うぅん…?」
海に峰打ちを食らった空が意識を取り戻し、自分の前にある刀を見た。
空「あっ!暖温刀!?…あぁ、私の刀ないっ!!」
空も空で大騒ぎを始めている。君菊はこの状況で何が起きたのか全て
察したようだ。千姫に今までの全てを報告するため、静かに一人
八瀬の里へ戻った。

その頃、風間家屋敷。
海「風間様?…いらっしゃらないのか…。」
天「そういえば、薩摩の用事で5日ほど家をあけると言って
  いました。」
匡「んじゃ、この女鬼どうすんだ?寝てるがよ。」
不知火が今だ気絶している千鶴の肩を軽く叩く。どうやら思い切り
打たれたようで、半日経たなければ目を覚ましそうになかった。
天「私が風間に報告してきます。」
二人のそう告げると、天霧は風になって消えてしまった。

—————1時間後

海「天霧さん。」
天「海、風間様は貴方の功績を褒めていましたよ。」
その台詞を聞いて、海の顔に幼い少女の様な純粋な笑顔が現れる。
天「しかし、雪村千鶴は帰して来い、と。」
匡「あぁ!?」
海「な、何故に!?」
二人とも、信じられないという顔で天霧に問いかける。天霧は予想の
範疇だったようで、特に驚きもせず二人に説明した。
天「何でも、『女鬼は、あの幹部達の前で俺が奪い去り、絶望を
  見せつけることで意味がある。』と。」
匡「ククっ、アイツらしいなぁ。」
海「……ご命令なら、行くしかありませんね。」
匡「だな。じゃあさっさと—」
海「いえ、ここは私一人で構いません。」
言うが早いか、海は千鶴を抱いて屯所へ飛んだ。

千「そう言う事。話は分かったわ。」
そのころ屯所には、鬼の姫千姫が訪問していた。その隣には、先程から
泣き続けている空。
空「ごめんなさいっ!わ、私が居たのに…!!」
その泣き声を聞きながら、幹部達も暗い気持ちになる。皆、自分に
非があると、多少自身を責めているのだ。
土「……意気消沈してる場合じゃねぇ。」
千「えぇ、今は彼女を取り戻さないと。」
その中で、暗い気持にも負けず気丈に振舞うのが、土方と千だった。
二人の会話で、話は進んでいく。
土「千姫さん。風間の家か何かは無いのか?」
千「そりゃあるわ。でも、場所は薩摩で……」
そのように会話を勧めていると、風で襖が激しく揺れた。
君・千・空「海!!」
幹部「っ!」
急いで平助が襖をあけると、そこには気絶した千鶴を抱きかかえた
海が立っていた。
海「貴方がたの姫を、お返しに参りました。」
千鶴をさっさと縁台に寝かせると、幹部達の言葉も受け付けずに
去ってしまった。