二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照800超感謝】 ( No.118 )
- 日時: 2012/05/20 23:06
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
57話「里の書」
海「何故、この刀の特徴がなくなるのか…。!まさか…!!」
海ははっとすると、不知火に向き直り、言う。
海「この刀に、ある事をすれば直るかもしれません!手伝って頂けますか、不知火さん」
不知火は楽しそうに承知した。
海は風間からもらった一室へ移動する。
その部屋は、誰が見ても海の部屋というように整頓されていた。
そして、隅にある本棚から、一番厚い本を取り出した。
匡「それは?」
海「父上や上様に内緒で、私の自里から盗んできた、里の色々な事について書かれた本です。
最後までは読んでいないのですが…何か見つかるかもと」
匡はその分厚い本を海から貸される。
海「計参巻、全て参百弐拾頁程あります。刀については、壱巻だと参拾頁から肆拾頁。
弐巻だと玖拾参頁から百弐頁まで。参巻だと、肆拾頁から質拾陸頁までです」
海が本についてぺらぺら説明しているのを聞いて、匡が苦笑いした。
海も多量な本を見つめて溜息を付く。
が、直に自分が言った頁数を開いてぱらぱらと見始める。
それに乗じて、匡も言われた頁を開き始める。
匡「それにしても海。こんな里の情報がつまったモン、よく盗んでこれたな」
海「…これは里の宝物小屋の中にあって、なかなか盗むのが難しかったですよ。
父に頼んでなんとか入らせてもらった時にこっそりと」
匡「……お前、想像以上に悪い奴だなァw」
海「お互い様だと思いますが?」
こんな会話をしつつ、半刻が経ってしまった。
本の文字は細かく、等間隔に並んでいないので読みづらい。
海「…。あ、これは…」
匡「どうした?」
海「昔の…里創立時の刀と血の誓いについて、ですね」
匡「なになに…」
——
私達がこの里を作っていくにおいて、白里と黒里で誓いを結ぶ。
今現在からその未来に到るまで、裏切りを無しものとするために。
まず、白里と黒里の刀を交換する。
これに誓いを立て、白里の刀には黒里の血が、黒里の刀には白里の血が反応するようにする。
これが互いの手から反することがあれば、刀は本来の力を使えなくなることであろう。
古き誓いに逆らった者は、必ず厳しく処罰をすること。
もしくは殺しても構わない。
その場合、相手長も長の座から降りることになる。
この誓いを解く方法は載せてはならぬが、里がなくなった時の為に載せておこう。
さて、その方法は…
自分の血を他剣に滲みこませよ。
だが、己で己を傷つけた血は受け付けぬ。
必ず他の者に頼み、血を流す事。
さすれば剣は他主にも力を貸すであろう。
———
海「なるほど。自分を他人に傷つけてもらえ、と」
海は言って、匡を見る。
匡は楽しそうに笑っていた。
海「御願い…出来ますか?不知火さん」
匡「おう、やってやってもいいぜ?」
海「では、頼みます」
海は、光らない刀を匡に渡した。
匡は受け取り、やはり面白そうに眺めた。
海はそっと襟元をゆるませる。
かなりの広範囲で、海のうなじから背中にかけてを出した。
匡は、海が差し出している首筋を、海から借りた刀を振り下ろし、斬った。