二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照1000突破感謝】 ( No.132 )
日時: 2012/06/23 10:13
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
参照: 70話突破ァァァァッ!!!

70話「忘れ去られた物語」

海「この里は、もう捨てられている。あはは!!」
空「何言ってんの!?誰も捨てたりして無いじゃん!!むしろ捨て
  られるのはアンタよッ!!」
空が思い切り皮肉を返すが、海は笑って受け止める。
海「いいや、もう捨てられている。…400年前に、な。」
その言葉を聞いて千の表情が重くなる。まるで、記憶の隅に隠れた
モノを捜そうとでもするように。
海「私達の一族には、こういう話が伝わっているのさ。」
言うなり海は、静かに語り出した。

—昔々、ずっと昔。ある女鬼が里長になりました。その鬼はとても
 頭がよく、村もまとまっていました。しかし他の一族の鬼達は
 彼女を認めませんでした。…彼女は、左腕が人間だったのです。
『こんな女が里長など!!』…怒った他の一族達は、村を襲い
 ました。鬼の誇りが穢れる。その理由で村を滅ぼしました。
 腕の事を知った上で女を認めていた村の鬼達も、誇りがないと
 言う理由で殺されました。そんな中、彼女だけは生き残りました。
 彼女は頭が良い上に、とても強かったのです。しかしその戦いで、
 彼女の美しい心は歪んでしまいました。
『私から奪うのなら……奪ってやる!!』
 彼女の心は狂気に蝕まれ彼女は村を捨てました。彼女の体は一部が
 人間であり、『不完全な体』と言われるようになりました。
 
 昔々、ずっと昔のお話です。——

海「いかがかな、空?」
海がにやりと笑い、ふざけて一礼する。
海「この女鬼というのが、私達の先祖さ。」
空「そ、そんなホラ話、誰が信じてっ!!?」
千「本当よ空。私も知っているわ。」
千が真剣な顔で空を止める。どうやら本当らしい。
海「ま、私は自分の意思で動いているから、その女鬼とは違うがな。」
そう言って海が刀を構えた時だった。
君「ぐっ!!あ…!」
不知火の弾丸が君菊の脇腹を翳めた。銀なので威力が大きい。
匡「残念だが、そろそろ時間だ。風間が待ってる。」
海「…分かりました。」
不本意そうに海が刀をしまい、不知火も銃を戻す。
空「待って、どういう意味!!」
君菊を千と支えながら、空が叫ぶ。
海「決まっているだろう?…我らが当主の奥方を、今度こそお連れ
  するのさ。」
丁寧な言葉を使っているが、内容的には「これから千鶴を攫う。」
と言っている。
海「くく。じゃ、お大事に?」
いうなり二人は風と共にきえた。