二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照1100突破感謝】 ( No.139 )
- 日時: 2012/07/08 23:11
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
77話「戦の妨げ」
空「らぁぁあッ!!」
空が全力で海との間を縮めていく。
海は落ち着いて眼を閉じ、刀を腕と共にに下ろす。
海の行為を見た空は一瞬目を見張るが、勢いは止まらない。
そしてそのまま思い切り刀を振り上げる。
海「右から振り下ろし」
空「っ!?」
海「戻っての横振り」
眼を閉じているのに、完璧に空の剣筋が読めている。
的確に、少し体を動かして避ける。
余り激しく避けると、傷の回復が遅くなるからだ。
実際、同じ位の傷を負っていた空と海だったが、海は大分回復している。
空は傷が痛むのを感じながらも刀を降る。
が、一向に避けられ当たらない。
空「何で…ッ!?何で避けられるの!?」
空が眼を見張って驚きながら言う。
が、刀の振りは止まらない。
海は完璧に閉じていた眼を片目だけ開きながら言う。
海「お前等見ていなくとも息の荒さと刀が空を斬る音で大体の剣筋は分かる」
空「んな!?」
海「やはりお前は全然甘い。ふざけ半分なのが丸見えだ」
空「ふざけてなんか無い!!至って真面目だもん!」
海「そうか?ならばお前の真面目という力を見せてみろ」
空「はぁぁッッ!!」
海が又眼を閉じながら挑発するように言う。
空はそれを如何感じ取ったのか、また刀を思い切り振る。
が、やはりそれは完璧の動きで避けられる。
避けていくにつれ、海はだんだん後ろに下がっていく。
そっちの方向は、他幹部達が戦っている方面だった。
わざとその方向に進んでいるのが分かったが、今更剣筋方向は変えられない。
その時、ドン!と海と誰かの背中がぶつかる。
海は驚いて顔を上げる。
背中をぶつけたもう一人の人物は、顔を下げた。
…不知火だった。
空は「隙有り!」と言いたげに思い切り刀を降り下げる。
が、海の光る刀によって防がれる。
海「嗚呼、不知火さん?何で邪魔ばかりするんです?悪戯ですか?」
匡「違ェよ。つーかお前も何で邪魔ばっかすんだよ」
海「申し訳ないですがっ!邪魔しているという気持ちは毛頭ありません」
海は言葉の途中で空を跳ね返す。
空は自分の刀であるぶん、力が出にくい。
海と匡は背中合わせになる。
その顔は少し楽しそうにも見えた。
空「——っ!」
空は一瞬息を呑んだ。
本当ならば、あそこで海と背中合わせになっていたのは、自分なのではないだろうか。
そんな考えが、一瞬脳を掠めた。