二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.16 )
日時: 2012/01/21 21:51
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

5話「羅刹の話」


千鶴の部屋へ案内された海と空。
其処で新しい着物を渡されて、海は着替え終わっていた。
そして礼を言うと、海は何気なく千鶴に問うた。

海「千鶴様はこんな所にいらっしゃって息苦しくは御座いませんか?」
空「あ、そうそう、其私も気になってたんです!あんな野蛮な人間と一緒で・・・」

空が千鶴はとても可哀想という様な口調で言う。
千鶴は急な質問に戸惑った。
千鶴が返答しようと思った時、海が重ねて言った。

海「それに此処には、あの紛い物も居るようですしね」
千鶴「・・・!」

千鶴が絶句する。
まさか羅刹の事まで知っているとは思ってもいないようだった。
海はやはり何を考えているか読めない無表情だ。
空は海の言った事を初耳だったようで、海に問う。

空「えぇぇえええ!!??そうだったの!?海、何で教えてくれなかったの!?」
海「お前には教えてある。お前が聞かなかっただけだろうが」
空「嘘だぁっ!!」
海「嘘じゃない。殺されたいか?」
空「殺さないでぇっ!!お願いだからっ!!」

海に睨まれた空は半泣きになりながら謝る。
千鶴はそんなやり取りを見ながら苦笑い。
海や空に何と返してよいか分からないままだ。
そしてようやく言葉を発する。

千鶴「えっと・・・。何で海さんは羅刹が居る事を知ってるんですか?」
海「私達鬼ならそんな事は簡単に察知する事が出来るのです。勿論千鶴様にも可能な事だと思います」

千鶴の問いに、やはり素早く返答が帰ってくる。
空もうんうんと頷く。
そこにぱんっと障子を開けて原田左之助が入ってくる。
浅葱色の羽織を着て、槍を持っていた。
海と空が素早く千鶴の前を庇う。

左「襲わねーよ。千鶴、これから見回りに行くが、一緒に行くか?」
千鶴「はい、すみませんけど、お供させて下さい」

千鶴がぺこりと頭を下げる。
その姿を見て、海が言った。

海「何故千鶴様が頭を下げなければならないのですか?おい人間!失礼極まりない!!」
空「そうだよ!千鶴さんは普通の人間じゃないんだから!」

空も加勢する。
千鶴が慌てて「良いんです」とその場を治めた。
そして千鶴は原田と共に見回りに行く。
千鶴から離れない海と空は見回りにも一緒に行くようだ。
千鶴は原田と並びながら町を歩いていく。
その後ろを、海と空が歩いていた。