二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.22 )
日時: 2012/01/29 17:40
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

8話「楽しき午前と危なき午後」

平「おい空、何やってるんだ?」
空「静かに。ていっ…!」
空は小声で意気込むと、あろうことか作った雪玉を海の後ろ姿に
向かって投げつけた。それはものすごい速さで、平隊士だったら
白い閃光に見えていたかもしれない。しかし
—パシッ パラパラ…
海「…投げたのはどちらだ?」
片手で軽々しく雪玉を受け止め振り返った海は笑顔だった。しかし
その笑顔はとても黒く、額には僅かだが青筋が浮かんでいる。
海「ひとつ」(チキッ←刀の鯉口を斬る音)
全「っ!!!」
海「ふt」
空「すみませんんんんっ!!!」
空は下に雪があるのも構わずに、その場に土下座した。はたから見れば
ものすごーく寒そうである。
空「投げたらどんな反応するかと思いやー!睨まないでー!」
海「まったく。いつまでたっても子供だな。」
そういって庭に下りると、雪玉を一つだけ作り、また千鶴の所に戻る。
海「藤堂平助、風邪をひきたくなければその木から離れろ。空、顔を
  上げろ。」
その声を聞いて空がひょいと顔を上げた瞬間。
空「ぇ?」
空の頬を少しかすめて、『白い何か』が飛んでいった。その『何か』は
平助がさっきまでいた所の木に激突し
—バコッ! ズ、ズズウゥゥンン!!
大きな音を立てて、その木の雪が全て落下した。あの下に平助がいたと
したら、間違いなく生き埋めになっていただろう。
海「私から一本取りたくば、それほどの威力がなければな。」
空「は、はひ……」
海「千鶴様、朝早き騒音をお許し下さい。」
雪「……はい。」
空も千鶴も完全に唖然としている。幹部達も同様だったが。
海「上がってこい、飯だ。千鶴様のが冷めてしまう。」
空「あ、うん……」
空は改めて、自分の幼馴染みをある意味恐ろしく思った。

その日の午後、千鶴は一人境内にいた。天気は晴天で、朝の雪もだいぶ溶けてきている。
雪「少し休憩したら、落ち葉掃きしよう。」
そう口に出して意気込んだときだった。
?「お前一人でいるとはな、余程狙ってほしいと見える。」
雪「か、風間さんっ!?」
そこに現れたのは千鶴を狙う鬼、風間千影だった。慌てて後ずさるが
遅く、右腕を強く掴まれていた。
雪「は、離して下さいっ!!」
風間がそのまま千鶴を連れ去ろうとした時、風間の手目掛けて短剣が
飛んできた。
海「…随分と無粋な事をなさいますね、風間様?」
空「…千姫様の命により、千鶴さんを死守します!」
雪「海さん、空さん!」
千鶴を背に庇い立つ二人の瞳は、今まで見た事ないほどの冷酷さと、
風間に対しての敵意が宿っていた。