二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.45 )
日時: 2012/02/12 17:56
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

16話「信じたい思い」

表では、新選組隊士と鬼達の大戦闘が行われていた。皆死に物狂いで
戦い、喧騒が止むことはない。…少なくとも、千鶴を担いだ風間が
現れるまでは。
原「あれは…千鶴っ!?」
永「っ!てめぇ。千鶴を離しやがれっ!!」
幹部たちも次々動きを止めかめるが、千鶴がいるためにそうそう手
出しは出来ない。
天「彼女は見つかったのですね?」
匡「じゃ、さっさと帰ろうぜ?」
言葉は違えど、二人とも撤収を勧めてくる。風間も気絶した千鶴を見て
頷き、歩き出そうとしてその足が止まった。
土「大した度胸じゃねぇか。だが、これ以上好き勝手できると思うな」
風間の退路を断ったのは、土方歳三その人である。
その瞳に浮かんでいるのは、風間に対する敵意のみ。
風「いいだろう。腕尽くで奪ってみるか?」
気絶した千鶴をその場に下ろし、刀を抜く。一瞬の後
土・風「おぉぉぉっ!!」
二人の刀がかみ合い、金属音が響く。自然になのか土方、風間の
計算か、だんだんと千鶴から距離が離れて行く。
土「らあぁっ!!」
高い金属音が響き、風間の持つ刀がポッキリ折れた。
風「ほう。」
一つ感嘆の声を上げると、土方にものすごい速さで突きを入れた。
土「くっ!?」
また高い金属音がして、今度は土方の言葉が弾き飛ばされる。腰にある
もう一本の小太刀を抜く間も与えず風間がとどめを刺そうとした時
雪「やめてえぇっ!!」
いつの間にか目覚めた千鶴が、小太刀を手に二人の間に飛び込み、
土方を庇うように風間と対峙する。
土「馬鹿がっ!余計な真似をっ!!」
風間と千鶴が個人で対峙したのは一瞬で、素早く土方が千鶴を腕に抱き
こんだ。
風「鬼の身でありながら、何故人間などに力を貸す?鬼姫から聞いて
  いないのか?お前の故郷の話しを。」
その言葉と視線に身を震わせながらも、土方に支えられ言葉を紡ぐ。
雪「たとえ私の故郷がそうだったとしても。彼らを、信じているから」
風「人間を、信じるというのか…?」
二人を引き離そうと再度刀を振り上げた風間に、千鶴は身を強張らせ、
土方は両腕に力を入れた。そしてその瞬間と、二人の前に白く光る影が
舞い降りるのは同時だった。
空「千姫様の命によりっ!!」
海「我等は千鶴様を守るっ!」
雪「貴方達は…!」
その二人は、外見を完全なる鬼の姿へと変えた、海と空だった。