二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.58 )
- 日時: 2012/03/04 21:22
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
23話「夜空に向かって」
海は溜息を付くと、柱にもたれかかった。
呆れた様に空を見下ろす。
海「全くお前という奴は…ぺらぺらと色々喋りやがって」
再び溜息をつく。
海は、またぐっと涙が出そうになるのを堪える。
だが。
空「海…うぅっ」
海「泣くな。あほかお前は。そんなに泣いて良い事などない」
千鶴はその光景を見て微笑んだ。
なんだか姉妹のような二人を見て、可愛らしく思ったのだろう。
先程からくすくす笑っている千鶴を、空と海はきょとんと見ていた。
空「千鶴さん?」
千鶴「良いですね、仲が良くって」
海「そうでしょうか」
海がぶっきら棒に言う。
照れ隠しでもあるようで、顔は俯いて見えなかった。
空は、そんな海を見て笑う。
空「あははははっ」
その空を見て、海が真面目な顔を上げる。
そしてぴっと空を指差す。
海「笑うな」
ぴしゃっと言う言葉の端に、ちょっとした威圧感がある海の言葉は、説得力がある。
昔から変わらない言葉使いで、空はもっと大きな声で笑った。
明らかに海の顔は怒っていた。
が、諦めたように柱にもたれ掛けなおした。
海「千鶴様…。弌言わせて頂いても宜しいですか?」
千鶴「何ですか?」
海「空は、【人か鬼かなんて関係ない】と言っていましたね?」
千鶴「はい…」
海「私は全く別の考えです。【人、鬼、羅刹という紛い者、全て別】。人や紛い物に興味はありません。貴女や空の考えを不思議に想います…」
夜空を見上げながら、海が自分の気持ちを言った。
少し哀しそうな顔をして、千鶴の方に向き直った海が、千鶴に問うた。
海「何故、鬼も人間も同じだと思えるのでしょうか?」
千鶴は困ってしまった。
何と答えるべきなのか分からなかった。
そんな困っている千鶴を見て、海が慌てる。
海「あっいえ、答えは今じゃなくて良いです。難しいことだと想いますので。実際私も、私の考えの答えを言えと言われても無理ですので」
「気が向いたときにでもお聞かせ下さい」と添える。
真夜中に差し掛かろうとしていた。
海や空は朝が早い。
ので、自室に帰っていった。
だが、千鶴はずっと、海に言われた事を考えていた。