PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- -02- 第一章 お騒がせ姫と不機嫌騎士と ( No.18 )
- 日時: 2012/02/04 22:04
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
-02-
「もっしもーし。神原ですけど、何かようですかぁ?」
{何かようですかぁ?、じゃねぇよ……遅刻常習犯が。}
「あはは……一体誰のことだか。検討もつかないね。」
{……よし、今すぐ鏡の中覗いてみろ馬鹿野郎。}
「あれ、電波が届かないのかな。なーんにも聞こえませんよー。」
ブチッ!と、通話を切断。
トントンとリズミカルに石段を登って行く結祈。風圧に揺れる紫銀の髪が日光に照らされ度々輝き、緑色の竹林に映える。
サワサワと涼し気な音を立てる竹の中、長々と続く階段を駆けるように難なく登り切った彼女。ふぅ、と一呼吸置くと自身前方、天高く聳え(そびえ)立つ大門を見上げ呆れ声を一つ。
「なんでこんな登校の面倒な場所に学校建てたのかなぁ……漫遊寺中は。」
文化部の人にはツライだろうに、石段の中程で見た赤髪を頭の片隅に追いやり小さく考えた。
竹の中を駆ける緑風が紫銀を大きく揺らす。
「うわ、……切られた。」
腹立たしい台詞を残し、ツーツーと途切れた電話。
当てもなく慣れない校内をうろつく程、苛立ちは膨らんでいき、比例するように不安も膨らむ。
「……心細くなってくるよな、こういうのって。」
生徒会活動として学校交流なるものを企画し始めて早一ヶ月。
名前の通り普段交流の無い他校同士で仲良く交流しよう、という極ありきたりなこの活動の為に朝早くから登校して打ち合わせをしたり、休日を返上して登校したり。
そして最終の打ち合わせとして花祭中生徒会からやって来たものの従兄弟の書記は遅刻、会計の一年は風邪、会長なんか学校にすら辿り着けない。
なんともまぁ纏まりの無い生徒会である。
心細くなるのも無理は無いだろう。
切られた携帯を見つめ彼、奏始は思う。
なんで結祈はあんなに自由人なのか、と。
朝、寝ぼけた彼女に殴られた頬がズキズキと疼いた。
PR