二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 夢中結愛信仰歌  【inzm】 ( No.52 )
日時: 2012/02/28 20:21
名前: 天音 (ID: cSw9GUzL)
参照: 短編は土日に一気に更新予定!

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 「……駄目だ、暇過ぎる。このままじゃ僕、」

青々と茂る木にもたれ、体操座りの様に縮めた体の上でかっくん、と頭が揺れる。

虚な瞳、浮き気味の声、緩くなる呼吸。

傍らに聞こえる土を掘り返すだけの音が子守唄に聞こえて仕方がない。


人間、暇過ぎると眠くなるのは当然でありそれは結祈とて例外ではないのだ。頭上で揺らめく葉がカサカサと音を立てる度、眠気は欲発されて意識が途切れかける。
風の音が遠く、自分の呼吸音がやたらと大きく聞こえたと数秒の差。

青目に落ちたまぶたが彼女の意識を暗転させた。






辺り一体を巡る風が小さく緩い寝息を攫う。











 「……ってか、いい加減に結祈探さないと。」

ぐるぐる歩き周り青、黄のバスを観察していた赤目が視線を外し、探し人の瞳と同系色の空を仰ぐ。

青く澄んだ空と、深みを持った青の瞳。

同じ青であれこうも違いがあるものかと薄々感心しつつ。


「あいつ、どうせ何処かで寝てたりするんだろうな……。」

がさがさと音を立ててかさ張る封筒を肩から斜めに掛けた鞄に無理矢理突っ込み両手を明ける。ふと脳裏を掠めた予測に頭を抱え、適当な方向に歩みを進めながら。制服の胸ポケットから取り出しはしたが“どうせ出ないだろ”、と通話を諦めた携帯電話には目もくれない。


「ったく、……何処行ったんだよ。」

呆れの感じられる文句とは裏腹に動く視線はしっかりと、手の係る従兄弟の姿を探す。


しかし見つけたのは、



「あ……れ?あのジャージって、」

バス、基キャラバンと同じ色合いのジャージを纏った一行。







 「……流戯、」



暗い暗い空間に黄とオレンジの瞳が光る。



「何してるの探したのよ?」
「……永恋?」



無造作に流された腰辺りまである橙の頭髪、高く冷たい声にはまるで感情が伺えない。



「あのね、ボク、」


流戯、と呼ばれた幼い少年は問い掛けには応じず橙の少女に声を返す。

暗闇の中ですら輝くような笑顔で。



「***のためにね、






























                     絶対に“魔女”を殺すの!!」

ゾワリと走った悪寒に永恋は僅かに顔を歪ませる。




(虚実と終焉と歌姫の裏側、夢想と狂気と奇術師の願望)