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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 夢中結愛信仰歌 【inzm】 ( No.94 )
- 日時: 2012/08/24 20:20
- 名前: 颯 (ID: 5.hXu42i)
-08-
そうだなぁ、と考える素振りを見せる実告。
「僕と黒はまぁ良いとしてさ、美夜は女の子だし……ねぇ?」
「眠い」
「だって、どう考えたって野宿は危ないし」
「お腹減った」
「……黒、少し黙ろうか」
イタリアから日本の東京。
長ったらしい空の旅を終えた三人は、
「さすがに宿無しは辛い……よね」
美夜が呟いた通り、夜中の寝床を探して白昼から、東京の街を徘徊していた。
「……出オチにも程があるや」
ふ、と。何度となく繰り返されていたテーマが止って。
伸びやかに、煌びやかに、華やかに。異国の旋律を紡いでいた声は、途切れて。
「……なんで、こんなにも残酷なの?」
彼方に消えて。
自分が愛した深海の瞳が、捻くれた“真実”のせいで濡れたから。
自分が愛した片割れが、曲げられた“幻想”を望んだから。
自分が愛した歌姫が、絡まった“運命”を欲したから。
「「「……くだらないな。」」」
真実は裏返され、正義は均衡を捨てる、
そして時計は逆さに廻り出したんだ。
「痛っ……!」
結祈から容赦ない蹴りを受け、地面と熱烈なキスを交わすという二次災害を済ました祈守。
いつの間にやら辺りには誰も居ず、一人。
だから、
「……結祈、もういいんだよ。」
それすら、誰にも届かない。
(まわる、回る、周る、廻る。世界は、二度と止まらない。)
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