二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマ 海の悪魔姫と太陽の天使姫 今日で16歳だよん☆ ( No.484 )
日時: 2012/06/28 20:18
名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
参照: 姫佳、誕生日おめでとう!!

【サプライズ誕生日会】


「そーいうことだから、絶対に言っちゃだめだよ。分かった?特にどうでもよさそうに、そっぽを向いているオレンジ色のバンダナくん」
「なんで、俺なんだよ!」
「だって、明らかに聞いてないでしょ」

まぁ、否定はできないが…。と心の中で呟いて、守はため息を吐きながら、姿勢を正した。
守達の前にあるホワイトボードには、「ティアラ&ラティアの誕生日会、秘密計画!!」と大きな字で書かれている。
ここに守達が集まったのは、題名通りだ。五日後、ティアラとラティアの誕生日らしい。
そのために、全員が力を合わせて、最高のサプライズをお届けしよう!!とはしゃぎ始めたのが、春奈であって、その次に夏未が勝手に企画を進めていった。

「じゃあ、皆は私がさっき渡した紙に書いてある通りに、手伝ってね。はい、話はここまで、解散していいよ〜」

その適当な態度はどうにかならないものか、と考えたことは一度や二度だけではない。ハミングをしながら、外を出て行くその後ろ姿は、かなり楽しそうだった。

「俺たちは飾りつけか…」

ティアラとラティアの誕生日会。正直言うと、守自身も少しだけ楽しみたいと思っていた。異国の二人をここでお祝いできること、そして、切羽詰まったここ最近の空気から抜け出して、少しだけ休息をとりたい、というのも理由だった。
うまくできるかどうかが、少しだけ不安だったが、軽く手を叩いて、作業に取り掛かった。





「なんだか、妙にそわそわしてると思わない?」

部屋には姉妹二人と相棒であるビアンとスカイしかいなかった。ラティアは椅子に座ったまま、眉間に皺を寄せて何か悩んでいるようだった。
それとは逆に、姉のティアラはベッドの上でゴロゴロしながら、くつろいでいた。

「何が〜?」
「……貴女に聞いたのが間違いだったわ」
「でも、別に悪いことをしようとしているわけじゃないと思うよ」
「まぁ、それはそうなんだけど……隠し事をされているみたいで、嫌なのよ」

はぁ、と深いため息をラティアは吐いた。
すると、いきなりティアラがベッドから飛び降りて、ラティアに抱きついた。さすがにラティアも驚いて、きゃっと小さな可愛らしい声を上げて、その次にティアラを軽く睨みつけた。

「一体、何なの!?」
「そういえばさ、今日って私たちの誕生日だよ!!」
「えっ……」

忙しくて完全に忘れていた。言われてみれば、確かに今日は自分たちの誕生日だった気がする。

「本当にそうね」

最後にゆっくりと誕生日を過ごせたのはいつだったのだろうか。そんなことを考えていると、ティアラがキラキラした笑顔で、楽しそうに言った。

「だからさ、お祝い“されに”行こうよ!!!」
「それは少し違う気が……」
「よぉし、行こう!!まずは夏未たちのところだね!!」
「ちょっと!私にはまだ、書類の整理が…」

抵抗は許されなかった。ティアラはそのままラティアの腕を引っ張って、部屋を飛び出した。



「まず、食堂から行ったほうがいいと思うの」
「大体、私たちの誕生日を知っている人なんか、少ないでしょ…」
「はい、とうちゃ〜く」

まさに、聞く耳持たず。ラティアの腕を掴んだまま、ティアラは食堂の扉を押し開けた。
それと同時に、パァン!という大きな音が鳴り、見渡すとそこには夏未たちが、手にクラッカーを持って、立っていた。


「「「誕生日、おめでとう!!」」」


「えっ…?」

何が起きたのかわからず、ラティアは瞬きをした。

「やった!!ラティア、誕生日会!皆のサプライズだよ!!」
「た、誕生日会?」
「フィディオに聞いたのよ。今日、二人の誕生日らしいわね。だから、私たちがサプライズとして、誕生日会を計画したのよ」

夏未の説明が終わると、秋が後ろからラティアの背中を押して、椅子に座らした。ティアラは自分で、その隣に座り込む。

「今日、二人は主役だよ」

女子たちが作ったのだろうか、たくさんの料理が目の前に並べられている。ここにいる全員が、自分とティアラのために、精一杯やってくれたことを思うと、心の底から嬉しさがこみ上げてきた。

「ありがとう、みんな」

小さく優しい表情を浮かべて、ラティアは微笑んだ。すると、さっきまで後ろにいた秋が、綺麗にラッピングされている箱を、抱えながら、前に立っていた。

「ラティアが前に欲しいって言っていた本と、こっちはティアラの最新作の…」
「秋、ありがとう!!!」

言い終わる前に、半ば強引に秋の手の内にあった、箱をとって、相手の承諾もなしに、開け始めた。はぁ、と大きなため息を吐くラティアと、なんだか嬉しそうに小さく笑う秋。
中身が分かった瞬間、ティアラの表情がかなり輝いていた。

「秋、ありがとう。でも、よく見つけられたわね」
「行きつけの店の中の奥の方にあった」

「ラティアとティアラ!私と冬花からは、お揃いのくまさんのぬいぐるみだよ」
「くまさん!?」

袋に包まれているが、かなりの大きさで、受け取った瞬間から、中身がなんなのか分かった。ティアラは相変わらず、無理やり開けてしまうが、ラティアは丁寧にリボンを解いて、ふわふわしたくまのぬいぐるみを、そっと取り出して、軽く抱きしめた。
春奈と冬花は、お互いを見合わせて、微笑んでいた。

「次は俺でいい?」

奥の方から出てきたのは、フィディオだった。
くまに夢中になっていたラティアも、さすがにはっと我に戻り、姿勢を正した。

「ラティア、ちょっと、目をつぶって」
「えっ、どうして?」
「いいから」

少し納得がいかなかったが、言い争いをしても意味がない。ここは自分が一歩引こうと、フィディオの言う通りに目を瞑った。
小さな足音が聞こえ、それは自分の背後で止まった。直度に髪に掠るような感触がしたのだが、やはり目を閉じたまま、フィディオの声を待つ。

「いいよ、目を開けて」

ラティアの胸元には小さなハートの形をしたペンダントが下げられていた。不思議そうにそれを手に取り、じっくり見た後、後ろにいるフィディオに視線を向ける。

「本当はもっと、いいものを用意したかったんだけど…」

頭を掻きながらフィディオは言った。
しかし、そんなことちっとも思わない。むしろ、彼が選んでくれるものであるのなら、嬉しくて仕方がない。
フッと思わず小さく笑みこぼして、ラティアは首を横に振った。

「そんなことない。ありがとう、フィディオ。すごく、うれしいわ」
「えっ…あぁ」

ラティアの素の笑顔だった。誰から見ても、それはとてもきれいで、見惚れてしまうほどのものだった。フィディオは少し頬をピンク色に染めて、視線を逸らしている。

「じゃあ、まだまだ男子からプレゼントがあると思うけど、先に食事にしましょ!」

軽く夏未は手を叩いて言った。

「よし、今日で二回目だけど、ラティアとティアラに向けて…」



「「「誕生日、おめでとう!!!」」」



賑やかな誕生日会は開かれた。長い長い夜、それは二人の少女にとっては、一生の心の宝物となるだろう。







〜姫佳へ〜
誕生日おめでとう!!
そんでもって、駄文で本当に申し訳ないです……orz
来年はもっといい文章が書けるように、頑張りますッ!!