二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂 菜華を操る少女 ( No.44 )
日時: 2012/04/04 18:14
名前: 梨奈 (ID: wUAwUAbM)






            第六訓 ヅラによるヅラ昔話



「ピンポーン。銀時君はいますかぁー?」

銀時が歌音を連れ去ってから数分後、桂がやって来た。

「おお、ヅラ。どうしたアルか?」

「ヅラじゃない桂だ。銀時に用があって来たのだが…銀時はいないのか?」

家の中の方をキョロキョロ見ながら桂は言う。

「あっ、あのバカですか? 歌音さんを連れて出て行ってしまいましたよ。
 いったい今どこにいるのやら…。」

顔に大きな痣がある新八が桂に言う。
歌音と聞いた途端、桂の表情が一変する。歌音に初めて会った時の銀時の表情みたいに…。

「新八君、今歌音といったか?!」

「えっ? ええ、いいましたけど…。
 あ、そうだ桂さんだったら歌音さんの詳しそうですよね。」

「詳しいも何も……この手で歌音の遺体を埋めたんだ…。」

「えっ?」

「おい、ヅラ! それどうゆう意味アルか?!」

「そうか…リーダー達は、まだ知らないんだな…。
 いいだろう、俺が歌音のこと…ちょっとした昔話をしてやろう…。」



こうして、ヅラによるヅラ昔話が始まった--





俺達と歌音が出会ったのはまだ俺達が幼い頃、まだ松陽先生が生きていた頃だった。
歌音は自分の背丈よりも大きな刀を背負って倒れているところを松陽先生に発見されて俺達と一緒に暮らすことになったんだ。


「なぁ、お前何処から来たんだ?」

「…………。」

「なぁあ、ってば!!」

最初は何を聞いても何も話してはくれなかったが時の流れです小筒心を開いていくようになってくれて行った。
そして俺達はいつの間にか歌音のことが好きになっていた。
特に銀時と高杉は骨抜きにされていた。


「銀さん…本当に歌音さんのことが好きだったんですね。」

「そうだな、銀時は本当に歌音を愛していたよ。
 だからこそ、あれは本当に災難だった…。」

「…?」


あれは銀時も高杉も攘夷志士として活躍していた時だった——
歌音も男装をして闘っていた。
だけど、それこそが間違いだった。女を戦場に連れてきたことこそが…。


「くっ!」

「銀時、大丈夫か?!」

あの時は敵が多くて俺達は瀕死状態だった。
もう無我夢中で戦っていた。
だが、そんな時に銀時が足に痛みを感じでしゃがみ込んでしまったんだ。
当然敵も無防御の銀時を狙ってくる。
それにいち早く気が付いた歌音は銀時の前に立って…

『バサッ』

「歌音ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

気づいた時には遅かった…。
歌音は大量の血を流して倒れていた…。


「そんな…。」

「歌音はッ!!」

その戦いには、なんとか勝って俺達は歌音の簡単だが墓を造り、そこに歌音の死体を埋めた。
歌音が大切にしていた、刀の菜華はここに歌音が眠る証として墓の上に立てておくことにした。


「俺達は…この手で…歌音を埋めた…。
 歌音は、あの時確かに冷たかった…もう確実に死んでいた…。」

「じゃあ、なんで銀ちゃんは普通に歌音と接してたアルか?!
 だって…歌音は…。」

「愛してたからよ。」

「ッ!」

泣きながら言う神楽にお妙が泣きながら答える。


「銀さんは、歌音さんを心の底から愛していたのよ。
 だから、たとえ幽霊でも嬉しかったのよ。」

「そんな…そんなことって…。」

みんな歌音が本当は何年も前に死んでいたという事実に涙が止まらない。
この重たい空気の中、もっと重たくさせるようなことが舞い込んで来た。


「桂さん! 大変です! 高杉の野郎達が動き出しました!!
 それに…桂さんのご友人が…!!!」

「銀時っ?!」

桂の部下らしき男の腕の中には血まみれになった銀時の姿があった・
銀時は定まらない意識の中で、

「歌音…歌音…歌音…。」

とかすれた声で言っている。
一体銀時の身に何があったというのだろうか——?