二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケスペ〜炎天パラメータ〜 ※亀並み更新 ( No.36 )
- 日時: 2013/12/14 22:23
- 名前: 周波数3,3 (ID: t5agwx1g)
第十話
「これはまた……、コメントの仕方が難しい道具だねぇ……」
「あーら、何いってるのかしら? アタシの手作りよ、傑作でしょう? 」
「傑作デスネー」
「その棒読みは聞き捨てならないわよー」
むにょーん、ほっぺたの両側をひっぱられて私の顔はさぞ滑稽なものになっているだろう。
うひゃー、やめてくださいよーブルーさーん。笑顔が怖いですってば。
目の前には羽のついた頭につける輪っかやら、勇者の鎧みたいないかにも胡散臭そうな道具。
これを売りさばくんだそうだけど、正直売れるの心配なのが正直なところなのである。
「ブルー、これ本当に売れるの……? 」
「売れる? ふふ、なにを言っているのかしらこの子はまったくもう。売れるんじゃなくて、売りつけるのよ!! 」
「はあ、さいですか……」
まあ色気たっぷりなブルーならできると思うけど、その分じゃ私に出番はなさそう。
……別にぺったんこじゃないし、ただ発展途上なだけだし。でも色気ないのは仕方ないから認めます、はい。
そんな私の気持ちを察したのか、笑顔でブルーは私の肩を叩いた。地味に痛い。
「大丈夫よ、アケビ! アナタには別の方法で客寄せしてもらうから!」
その言葉に嫌な予感を覚えつつも、取り合えず頷いておくんですけども。
なんかがんばれ的な視線が少し離れたクオンから送られてくるのがとっても空しいんです。
現在の私の格好は……、まあ男にしか見えないような格好で(普段から男にしか見えないとか無しね、無し無し! )。
何故私がこんな格好をしているのかといえば、ブルーに「アンタ女受けよさそうだし、いっそのこと男装でもして客寄せして頂戴な」なんて言われたからです。断れば良かったのに、なんて誰かに言われそうだけど絶対にあの状況で断るっつー選択肢はありませんでした、はい。
案の定、というかブルーさんの思惑通りに、店を開いて十分。ブルーさん目当ての男性客と、恐らく私目当ての女性客の人だかりができていた。興味本位の人もいるみたいだけど。
「よってらっしゃい、見てらっしゃい! ポケモンを今よりもーっと強くできる道具、今なら安くしとくわ!
……ほら、アケビも! 」
「あ、あぁ…………」
「あ、あの! お兄さん、カッコいいですね! ポケモンバトル、強いんですか? 」
「えっ、っと。まあ、それなりに、ね。それよりも、君の方が可愛いと思うな。それに……、そのイーブイも可愛くて強そうだよ」
きゅーん、「わ、私それ買います!! 」
(計算通りね……)
(うわぁ……、本当にやっちゃったよ私)
顔を赤くして、見事に騙されてしまった少女に少し罪悪感を抱きながらも、自分が選んだ道……と心を鬼にする。
それよりも、私が何のためらいもなく男扱いされてることに少し寂しさを感じるんですけどもね。
※その後の売り上げはそこそこ好調だったようです。
「フンフンフーン♪」
やけに上機嫌で、おまけに鼻歌まで歌っているブルーは電波塔の中、窓近くの手すりに座って外をみていた。私は少し離れた所で、そんなブルーを見ている。
すると、ブルーはなにかを見つけた……、いやカモをみつけたようだ。お相手さんはお気の毒に、だね。
「アケビ、行くわよー! 」 「はぁい」
カモになった少年、どっかで見た気がしたんだけどなぁ……。思い出せない。でもまあ、いつか思い出すでしょ。
「さあさあよってらっしゃい!
便利な道具大バーゲン! 安いわよーっ」
「見ていくだけでも損はしないよ! もちろん、買っても損はしないけどね! 」
さっきした場所とはかなり離れた所でもう一度店を開く。
今度は流石に男装はしてない、二回もなんてどんな羞恥プレイなんですか? それならブルーもメイド服でするくらいやってもらわないと。
……い、いや! 別に女の子相手にそんな趣味があるわけじゃないの!
「ああーっ、お前ら! 」
「あちゃあ、やば……! 」 「……逃げるしかなさそうだね」
いきなり大声、何かと思えばさっきのカモこと少年でした。やっちゃった、やっちゃったよ!
取りあえず逃げようと腰のボールホルダーに手を伸ばす。どうやら考えていたことは同じみたいで、おんなじタイミングで川にボールを投げる。
「バイバーイ」
「さっきは御愁傷様でした、っと」
このまま退散、と思いきや前方不注意、いや前方が悪い! なにか柔らかいのにぶつかって、ブルーとは反対方向に飛ばされる。
やっばぁ、向こうは少年がいる方だって! 向こう岸に渡ろうとシラナミを見ると、ダウンはしてないみたいだけど軽く気絶してるみたい。仕方ないなぁ……! 幸いにも近くに橋がある。そこまで全力疾走。
もう少しでつくという時に、ブルーの足下がポケモンの技によって崩れる。あぁ、それに少年に連れてかれるし…!
こういう時に役にたたないって、本当に嫌になるよ!
あとがき
何ヶ月ぶりの更新でしょうかorz
お待たせしてすみません、少し短めの第十話です!