二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: inzmGO【音は1つになり、空にはばたく】オリキャ ( No.12 )
日時: 2012/04/04 09:21
名前: 風風 (ID: evp0hpRa)



 

 「うわぁ.....おいしそう」


少し町を進むと、ぶどうの香りはしなくなり、今度は食欲をそそるような甘いお菓子のような香りが町全体に広がっていた。

その、甘い香りに誘われるが間々、歌海が軽い足どりで、ついた店は〔アンジェ・D・シェル〕
2、3㎜開いた木の扉の間からは、甘い砂糖の香りが店の外へと、もれていた。

ただの好奇心で、少しはなれた窓をのぞくと、窓の中側ではエプロンをきて、泡立て機やバット、はけを持った人たちや、
出来やがったケーキ達に赤い木の実をのせて、デコレーションをする人たち

がせっせと働いていた。
そこからもやはり、甘い香りがただよってきて、
歌海の鼻まで届くと、その香りに反応したのか、お腹が-グゥゥゥ....-と豪快になった。


だが、当の本人はまったくもって気が付いてない。なんたって、彼女はケーキたちに夢中なのだから。

そう。後ろに人がいて、険悪そうな顔をしていてもだった。




 「おい......」

緑色の軍服を纏い深い青色の髪を持つ青年は、いらついているのか、右手を腰に軽くつけ、左足で地面をテンポよく叩いていた。
が、歌海の方はまったく気づいておらず
軍服の青年は、苛立ちを増やすばかりだった。



 「おい!!そこのお前!!」

だが、ついに苛立ちも限界に達したのか、軍服の青年は、歌海に向かって叫んだ。
歌海の方は突然、叫ばれたもんで、「は、はいぃぃぃぃっ!!!!」と肩を一度-ビクッ-とさせ、こちらを向いた。


 「俺は、第1537ロイス小隊の伍長、剣城京介だ。 お前....もしかして新しく入隊した...」


剣城の規則正しく敬礼をするのと、《第1537ロイス小隊伍長》というのが耳に入ったのか、
一度、やばい!
とでもいうように顔を歪ませ

 「あ、新しく第1537ロイス小隊に入隊しました。明空歌海です。えっと....手兼通信士としても入隊しました!」


一度、背筋を-ピン-と伸ばし、右手を兵隊のように自分の額に歌海はつける。
それを確認すると、剣城は後ろを向き、突然歩きだした。

いきなりで、どうすればいいのかわからなく困惑していた歌海に、剣城は

 「お前、まさか手ぶらできたのか?」

そういい、まだ歌海が通ったことない道を歩きだす。
歌海も、ついていこうと思ったが、


 「.....あ、荷物!」

慌てて駅の方へ戻っていった。

 「まったく....狩屋より大変そうだな」

剣城は両ポケットに手を半分ぐらいまで入れ、歌海の後を追い掛けた。