二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: inzmGO【音は1つになり、空にはばたく】 ( No.36 )
日時: 2012/04/06 23:23
名前: 風風 (ID: hMtE.UVn)




桜色の髪の娘は歌海から背を向けているため、顔は見えない。だが、月の光が反射して桜色の透き通った娘の髪はキラキラと輝いていた。

歌海は、杏樹だとはわかっていても、何処か寂しそうで不思議な雰囲気を出していたため一言も口にすることが出来ず
杏樹を見つめていた。


見つめられている気配に気が付いたのか、杏樹は黙ったまま歌海の方をむく。

その行為も何処か悲しげに見えた歌海は思わず息を飲んでしまった。


 「今日は星が綺麗。」

静かな雰囲気に口を開いたのは杏樹自身だった。
余り変わらない表情で夜空一面に広がる星空を眺めていた。

 「うん。ほんとだね」


杏樹につられるように歌海も夜空を見上げる

春の始まりでまだ余り暖かくなっていない冷たい空に張り付くのは、沢山の星々。その中央には黄色く光り輝く月が存在していた。


 「私の実家は星なんか一個も見えない都会の町だったの」

星を眺めながら杏樹は小さな声で呟いた

話の続きが気になったのか、歌海は杏樹の話しを聞こうと目を向ける

次に杏樹が口を開こうとするが、-ブォォォォ....-微かだが、そんな音が静かな夜空に響いた。

その音が夜空に鳴り響いた数秒後、-カンカンカンカンカン....-と誰かが階段を駆け上がって来る音がした。
次の途端-ガタン-とでかい音をたて、荒く肩で呼吸をした美桜がいた。


 「いますぐ部屋に戻って!!今のは支配派国の軍事ヘリよ!!」


 「っ!?!」

その報告を聞いて顔を歪ませたのは歌海ではなく杏樹だった。
杏樹は何かへの恐怖で顔を歪ませ、肩を震わせていた。




 「ここが歌海の部屋ね!基本部屋は1人だから、そして歌海の右隣は私の部屋で左隣は杏樹の部屋だからわからないことがあったら私たちに聞いてね」

 「ありがとう」


歌海は一言そう伝えると、一直線に部屋へ向かった。


 「ふぅ...疲れた」

歌海が部屋に入るとベッドの上に自分が持ってきた少ない荷物が置いてあった。
その中にはトランペットもちゃんとあった。

その荷物の中からマウスピースを探し口にあて小さく吹き鳴らした。