二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ハリポタ息子 アルバス・ポッターと真実の鏡 短編募集 ( No.97 )
日時: 2012/08/23 10:10
名前: 蒼聖 (ID: HKLnqVHP)



「昔々の御伽噺——。一人の皇子が、深い森の中の城に住んでいました」
聞こえるのは、少し低めの少年の声。
その他は、物音一つしないグリフィンドール塔の寝室・・・

「ある日、滅多に客が訪れないお城に、一人の客がやってきました。その名は、〝滅〟といいました。
その滅は、願いを叶えて欲しいと言い、やってきました。
私の願いをかなえてくれたら、貴方の望みも叶えましょうと・・・」

「ねぇちょっと・・・アルバス、やめよう、ね?」
沈黙を、まだ高い少年の声が遮った。

「えー、俺続き聞きたーい」
「だってぇっ、夜寝れない・・・」
「ビビリッ、お前は幼児かよ」

日曜日の夜。グリフィンドール塔、アルバスたちの寝室である。
ルームメイトは、アルバス、ライク、ネビルの息子であるカウィル、ディーンの息子であるリィーン、妹のシスコンであるミラン。

ハローウィーンが、明日だった。
そのせいで、(アルバスを除く)ライクたち少年4人が明日のハローウィーンの話で盛り上がっていると、いつの間にか時刻は深夜11時。
興奮していたせいか、4人とも布団に入ったが中々眠れない。

一方、一人3時間前に眠りについているアルバス。
目覚ましを朝5時にセットしており、4人は羨ましげに眺めた。

そして、次の日に日付は変わり——深夜1時。
「だああああ眠れねぇぇぇっ!!」
「叫ぶな馬鹿ッ、アルバスが起きるだろっ、彼は寝起きの機嫌すっごい悪いんだよ」
叫んだリィーンをライクが止める。
少年4人——、は、一人も眠れていなかった。

ライクの一言でばっとアルバスを見やると、

「・・・起きてるよ。ベットの軋みがすごくて眠れないし、君達がずーっと騒いでるから」
——起きていた。
一同、ぽかーん・・・状態である。

ライクの言ったとおり・・・寝起きの機嫌は最悪だった。


『一回起きたらもう眠れない』とか言い出し、突然勉強を始めた彼にリィーンが必死に誤りこんで——
「・・・寝るのに・・・御伽噺を、か・・・そうしたら静かにしてくれるか?
・・・眠れなくても知らないからな。一回だけだ」

御伽噺などを聞いていると自然に眠くなる——
そう考えたリィーンは目の覚めているアルバスに頼んでみる。

そして、今に至る。
「ひぃぃ、怖いよ・・・こう、明るい御伽噺はないの?」
このビビリ・・・カウィルが言っても、アルバスは気にせず読む。

「皇子は願いを聞いてみることにしました。
滅は言いました。死後に、貴方の魂を私にくださいと。
皇子は戸惑いましたが、その報酬は、自分の願いがかなえてもらえるのです。
皇子は、『真実の鏡』が欲しいといいました」



*

「真実の鏡・・・そうか・・・!」
だんっ、と机の上のものが跳ねた。
「この手紙は———」

ハリーはアルバスから貰った例の手紙をじっと見つめた。
「ハローウィン・・・・今日か・・・」

〝ハローウィンの日
          一つの災い
一人の生徒が消え〟

紅いインクのその字を、じっと見つめた。
そして、すぐに校長室を出て行く。

——ふっ、と、蝋燭の火が消えた。