二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.427 )
日時: 2013/03/10 14:41
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第12章の続き

(ストーリーモード:ミジュマル&バン)

翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえた。カーテンの隙間から放たれる太陽の光が照らし出される。
眠そうに目を開けると、バンの部屋に居た。昨夜のことを思い出し、目を閉じた後の記憶がなかった。
その後、どうやって戻ったのかも思い出せない。隣で僕を抱きかかえるようにして爆睡していた青年の肩を揺り起こす。

「…んー……?」

眠そうに唸りながら、目を開ける。茶色の瞳が僕を捉えた瞬間、ようやく意識が戻ったのだと悟った。
やっぱり、バンだった。僕はバンを見て、聞きたいことがあるというしぐさを見せる。

「ミジュ!」

僕の様子を見て、眠そうに目を擦るバン。あまり怒ってないみたいだ。
どうして、こんなところにいるのかも分からないまま、動揺と不安を隠せないで居た。

「ミジュマル、意識が戻ったのかぁ……」

バンの口から放たれる酒臭い息が出たのと同時に顔を顰める。
その様子だと飲んで帰ってきたということが伺え、酔っ払っていたのだろう。
だるそうに上半身を起こし、フラフラとよろけながら立ち上がる。バンは机の上に置いてあるヘッドフォンをセットして戻った。

「昨日、ポカブと一緒に例の廃墟ビルに行ったんだって?」
『ごめんなさい……。だって、待ってるのが嫌だったから……』

肩を落として、シュンとうなだれる。そんな僕の頭を触って、優しく撫でる。
バンは溜息をついて、僕を見たのと同時にライガを見る。手当ての仕方を教わったらしい。

「その気持ちは分かるよ。でも、あそこには行くなと言ったのに……ホントにお前はアクティブなんだなぁ」

アクティブって言うか、落ち着きのない僕を褒めているのか?

『うん、アクティブってよく言われる。だって、こうでもしないと気が済まないんだ』
「へぇ……。ツタージャとチコリータに助けてもらったんだから、後でお礼を言えよ」
『うん……。これからは気をつけるよ』

そう言うと、バンは苦笑しながら溜息をついた。酔いが冷め切ってないのだろうか。
いや、それとも違うのか…。バンの様子を見ていて分からないことがあったりする。

『そういえば、どうしてここにいるのか分からない』
「あぁ、俺が連れて帰ったんだよ」
『ええっ!?』

バンの台詞を聞いて驚く。その後、連れて帰ったということか?
少し間を置いてから、バンは僕を見て気遣いながら笑う。

「うん、話すと長いんだけどな……」

バンはどうして、こうなったのかについて語り始めた。

***

数時間前に遡る。ハルに誘われて、飲みに行った帰りのことだった。
ミソラタウン駅前に着くなり、ベンチに座り込んだのと同時にウトウトし始める。
そんな俺の様子を見たハルは呆れながら、溜息をつく。かなり飲み過ぎたせいで酔ってしまうのは久しぶりだ。

「はぁ……。こんなことになるなら、後にすれば良かった」
「なーに言ってんだぁ、俺はどうせ暇だから良いんだよ」
「何か気に食わないねぇ……。飲みすぎてるのは、いつものことじゃないの?」

ハルに咎められ、顔を顰めたのと同時にふてくされた。そんなこと言わなくても分かっている。
そのつもりでいたのに、調子に乗って寝ちゃったんだよな……。気付いたら、夜中の12時になっていた。
通いなれたバーのカウンター席で突っ伏して爆睡してしまった俺を見て、何度も起こしてくれたらしいのだが……。

「わざわざ、突っ伏して寝ることはないでしょうが……。全く、私を困らせないでよ」
「うっせ、放っとけよ……。飲みすぎちまったのは、俺の責任だしさぁ……」
「おーよく言ってくれるね。やっぱり酔い潰れたのと一緒じゃない?」
「それと一緒にすんなよォ……。寝てたんだから、しょうがないじゃんかぁー」

ハルと会話しながら、ケンカしつつも楽しんでいた。酔いが覚めるまでには時間がかかりそうだ。
その時、ハルのCCMの着信音が鳴った。同時にポケットから取り出して、耳に当てる。

「はい、もしもし……。あっ、ヒロ……」

ヒロから電話が来て、何やら話し込んでいる。会話を聞くのも面倒だけど、後で聞いておくか。
眠そうに欠伸したのと同時に睡魔が襲ってきた。少しだけでも良いから寝かして…。
意識がだんだん無くなってきたのと同時に深い眠りに落ちて、爆睡モードに入ってしまった。


30分経過した頃、俺の肩を揺り起こすのと同時に聞きなれた声が出た。

「……ン、バン!」

深い眠りに落ちたことを思い出したのか、眠そうに目を覚ます。

「……んぁ?」

ハルが心配そうに顔を覗き込んで、俺を気遣ってくれていたようだ。
なかなか起きないのを良いことにして、爆睡してしまった。ふと、ハルが顔を顰めていることに気付く。
さっき、ヒロと電話していたことを思い出す。そのことで、何か気になることでもあったのか。

「…ぁ、俺寝てた……?」
「うん、ぐっすり寝てたよ。なかなか起きないからねぇ、よっぽど疲れちゃったのかしらね?」
「やっぱり寝ちまってたかぁ……。ところで、ヒロから電話あったんだろ?」

ヒロと電話したときの会話が知りたくて、眠そうに欠伸を噛み締めながら問い質す。
ハルは俺を見るなり、思わず顔を顰めた。もしかして、何かあったのだろうか。

「バン……。ミジュマルは家に居るよね?」
「あ?」

何のことかと思って、ハルに聞き返した。確か、ミジュマルは家に居るはずだ。
ライガたちと一緒に留守番してもらっているけれど、大人しくしているのだろうか。

「ミジュマルなら…家に居るはずだろォ、何言ってんだぁ?」

惚けるようにして答えると、ハルは俺を見て顰めた。家に居るわけがないと思ったのか、俺に向かって溜息をつく。

「直太がバンに電話してくれたらしいけど、出なかったってさ」
「あ? 直太のヤツ、何が言いたいんだよ……。俺は何もしてないぞォー」
「違うの、私が言いたいのは……それじゃない…。もう一度聞くわ、ミジュマルは家に居るはずよね?」

ハルは俺の肩に両手を置いて質問する。その質問を聞いた俺は無言で頷く。
左手でCCMを持ったまま、ハルは右手で顔を顰めて覆う。その様子を見て、ハルが何を言いたいのか分かった。

「もしかして、ミジュマルが……いなくなったとか?」
「うん……どうやら、そうみたいよ。バンのことだから、信じられそうもないよね?」

まさか、ミジュマルが家を出て行ったとは知らずに居たのだから。それを聞いたときは目を丸くして驚いた。

「はぁ? 抜け出したって言いたいのかぁ?」
「うん。同時にポカブも抜け出していったみたいで、2人で一緒に行ったみたいよ」
「ったく、何やってんだぁ……。あいつ、決して抜け出すようなヤツじゃないからさぁ」
「でも、その行き先がちょっと厄介なのよね……。バンは知ってるよね?」

その行き先に思い当たる節があったのか、廃墟ビルではないかと推測する。
もしかして、ミジュマルはポカブと一緒に廃墟ビルを見に行ったのだろうか。

「なぁ、その行き先は……。例の廃墟ビルだよな?」

ハルに問い質すと、答えが当たっているようだ。まさか、こんな時間に廃墟ビル探検するなんて有り得ない。
そこを探検するのはいいけど、ポケモンたちで行くのは危険だ。そろそろ、助けにいかなきゃ!

「今から行こうぜ」
「いや、大丈夫よ」
「えっ、何でだよ!?」
「ヒロと直紀が救出してくれたみたいで、ミジュマルたちは大丈夫そうよ」

ハルは笑って頷いた。その同時に聞きなれた2人の声が聞こえた。

「おーい、バン!」
「おっ、直紀! それにヒロまで……。どうして、ここに?」

幼馴染の船津直紀と後輩の大空ヒロがミジュマルたちを抱えて、2体の草ポケモンと一緒にやってきた。

「駅前で待ち合わせしようってなったから、ついでに来たんだ」
「バンさんも一緒に居るって聞いたので、ミジュマルを連れてきました」

ヒロの腕の中を覗くと、ミジュマルは寝息を立てている。ミジュマルの身体が傷だらけになっていた。
どうして、こんなになるまで耐えたんだろう。そのことについて分からずにいると、ヒロが話してくれた。

「実は僕、ミジュマルとポカブが出かける姿を見かけちゃって……」
「見かけた?」
「はい。その後を追いかけていったら、廃墟ビルでRという男にやられていたんです」

Rという名前の青年について、驚きを隠せないのと同時にハルと顔を見合わせる。
ポカブも傷だらけになっていたから、何かあったことは間違いなかった。

「まさか、そいつがいじめてたのか?」
「はい、それだけじゃないんです。そこで偶然、こんなポケモンを見つけて……」

直紀に抱えられているポケモンを見た。見るところ、トカゲのような風貌を漂わせていた。
様子を見る限り、意識を失っているようだ。ハルも心配そうに見つめている。

「酷い……。ポカブやミジュマルを傷つけておいて、何がしたいのよ!」

ハルの怒りが最高潮に達したのと同時にパンチを食らわせようとする。
俺は左手でガードしながら、落ち着くようにして宥めた。