二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ワンピ×ダン戦-交わる三本の線 ( No.177 )
日時: 2012/07/08 14:56
名前: 勇騎那 (ID: 3nachYIa)

翌日、レジーナは家族3人で船を出して"偉大なる航路"の前半にあるシャボンディ諸島に買い物に出かけた。
シェリーと一緒に居れば荷物持ちにされることは目に見えていたため、レジーナとライチョウはシェリーに適当な口実を作ってかんざし屋に来た。

「お父さん」
「何だ?」
「そういう趣味あったんだ……」

レジーナは細い目をわが父に向けた。

「違う!!断じて違う!!」

息子にそんな目をされるとは思っていなかったライチョウはヒヤッとした。

「明日は13回目の結婚記念日だからな。シェリーにかんざしをプレゼントするんだ」
「へェ…」

レジーナは目の前にいる男が自分の父ではなく、恋人と記念日を祝う楽しみを持った普通の男に見えた。
その姿は、レジーナの目にかっこよく映った。

「惚れ直しました」
「「……!?」」

淡い桜色の着物を着たシェリーがいつからなのか、いた。

「い、いつからそこに居て……」
「最初からです。何より、結婚記念日を覚えていてくれたことが一番うれしゅうございます」

シェリーはふわりと笑った。
ライチョウは真っ赤になり、その場に顔を押さえてしゃがみ込んだ。

「"天竜人"ですよ」
「膝をついてやり過ごせ。ほら、レジーナも」
「う、うん?」

両親が地面に膝をついた。
周りで買い物をしていた人々も次々に膝をつき始めた。

「全く使えぬ奴らばかりだえ。この!!」
「うっ!!」

天竜人が乗り物にしている魚人の頭を蹴った。
蹴られていなくてもすでにその魚人はもう倒れそうなほどフラフラだ。

『(あれが、前に話してた"天竜人"なの?)』

レジーナはできるだけ小声で喋った。

『(あぁ。たとえ誰かが目の前で撃たれても、見て見ぬふりをするんだぞ)』
『(どうして?)』
『(あなたが殺されるからよ)』

無知なレジーナにはシェリーとライチョウの言葉が分からなかった。
分からぬまま、ただ膝をついていた。
天竜人は奴隷の首につながれた鎖をたずなのよう引き、止まった。

「下々民め。だがなんと美しい」

薄汚い手をシェリーの顎にかけ、上を向かせた。

「よし。妻にしてやる」
「では、第21夫人として聖地へお迎えする手続きを……」

シェリーの美しさに目を付けた天竜人は妻にすると言い出した。
天竜人の言葉は絶対。
逆らうことは死を意味する。
だが、ライチョウは黙っていられなかった。

「お待ちください!!その人は私のっ……!!」
「魚がうるさいえ」

キャ—————!!!
離れろ—————!!!

たった一発の弾丸がライチョウを貫いた。
レジーナは愕然とし、指すらも動かなくなった。

「こいつもついでに魚人コレクションに加えてやるえ」

12歳ながらにレジーナは激しい怒りと憎悪にさいなまれた。
そんな彼の心を察するかのように、シェリーが優しく言った。

「私たちのために復讐しようなんて思わないで」
「え……?」
「明るい未来から少しでも視線をそらしちゃだめよ……」

シェリーとライチョウは連れ去られていった。
人々がまばらになってきたころ、レジーナはただただ泣いた。

「うっ……、うわあああああああ!!!」

物心ついてからは泣いたことがなかったレジーナ。
そんな彼が赤子のように声を上げてわあわあ泣いた。