二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D・Gray-man 〜涙のメロディ〜 オリキャラ募集中! ( No.219 )
- 日時: 2012/08/19 16:26
- 名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
第11粒「 ”緋色“」
イノセンス。
それは『神の結晶』とも呼ばれる、不思議な力を帯びた物質。対アクマ武器を造る原材料となる。
全部で109個存在し、世界中に散らばっている。そしてその中には、全イノセンスの力の根源となる『ハート』がある。
エクソシストは、イノセンスの力を引き出せる適合者である。ひとつのイノセンスにつき適合者はひとり。シンクロ率が低いと発動が困難になる。
———という話をアレンはコムイやヘブラスカに聞いているのだろう。
ヘブラスカというのは、千年伯爵の再来を予言した『石箱』、の適合者だ。教団の創立時からいるらしい。
あたしはエクソシストだ。
あたしが所有するイノセンスは———ふたつ。一つは、『月鎖<ツクサ>』。弓の形をしている。装備型だ。もう一つは『涙の音<ラクリマ>』だ。のど、・・・いや、声帯に寄生している。
ふたつとも、あたしが”適合者“だ。そう、ふたつとも。
本来イノセンスを適合者はひとつしか所有できないが、あたしはふたつ所有している。理由は不明だ。
教団内では、どちらかが『ハート』ではないか、と噂されているらしい。まあ、違うと思うけど・・・———。
* * * * *
「———ラくん。・・・サクラくん、サクラくん!!」
遠くからコムイの声がする。膝を抱えて、うずめていた顔を上げると、コムイがあたしを見下ろしていた。よいしょっと、と立ち上がると、
「何か用? コムイ」
「何かとは失礼だなー。せっかくアレンくんの報告しに来たのに」
「あ、そうだったね」
眠ってたからそんなことすっかり忘れてた。うん、もうすっかりと。
「で、どうだったの」
「シンクロ率は83%だったよ」
83、か・・・。良い方じゃないかと思う。あたしもそれくらいだし。
するとコムイは陽気な声で語り始めた。
「いやー、アレンくんてばさー。ヘブくんにびっくりして、麻酔をかけられている腕をねー、むりやり———」
「コムイさん!」
アレンの声がした。と思った瞬間、バキッという音と共にアレンの拳をガードしたファイルがぐにゃりと曲がっていた。
「その話はもうやめてくださいよ! だいたい、コムイさんのせいじゃないですか」
アレンが怒ってコムイにいろいろと言っている。まあ、推測するに、なんの説明もなしに連れて行かれたアレンはヘブラスカを見て驚き、麻酔がかかって動かない左腕を、無理矢理発動して———、というところだろう。
「それじゃあサクラくん。後はよろしく」
「え?」
「部屋の案内だよ。アレンくんの」
「ああ、りょーかい」
「じゃ、いこーか」とアレンと共に行こうとするとコムイが呼び止めた。
「サクラくん。ゴーレムは欲しくないかい?」
いきなり言った。思えば確かにあたしはゴーレムを持っていなかった。理由は、・・・まあゴーレムのデザインがかわいくなかったからである。それにしても、なんでいきなり———
「通信できなくて不便だから困ってるんだよ」
さいですか。
確かに毎回あたしの所へ連絡をしてくる人たちを見てると、申し訳ないと思うし、
不便だ。
よし、と心に決め、遠くにいるコムイに向かって声を出す。
「ティムキャンピーみたいなの造ってー! あ、色は・・・・・・・・・・・・」
数秒間、悩んだ末に決めた色は、
「———緋色で」
そう、コムイに伝えると「さ、いこっか」とアレンと部屋へ向かい、歩き始めた。カツコツと足音が教団の中によく響き渡っていった。
* * * * *
色を選んだ理由?
さあ、ノリじゃない?
あはは、冗談冗談。
そうだなあ、・・・なんて言えばいいんだろ。
こう、突然目の前にぱっと浮かんだんだよね。
まあ、これも———
———必然なんだよ。
そう、アレンと話しながら歩いていく。
〆 8月11日