二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D・Gray-man 〜涙のメロディ〜 こめんと募集中! ( No.231 )
日時: 2012/08/19 16:10
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

  第12粒「”時の破壊者“と”暁の創造者“」


 「———ってわけなんですよ」

 やっぱりか。

 「大変だね〜、アレンも」

 やっぱりあたしの推測はドンピシャで当たっていた。

 「・・・そういえば」

 アレンが口を開く。まだ部屋までは遠い。

 「『預言』を言われたんですよ。ヘブラスカに」

 ピクリと反応する。あたしはあくまで陽気な口調で「へぇ〜、なんて?」と聞いた。

 「『アレン・ウォーカー・・・。お前のイノセンスはいつか黒い未来で偉大な”時の破壊者“を産むだろう・・・』って・・・」

 「ふ〜ん。”時の破壊者“、ねえ・・・」

 「サクラは?」

 「え?」

 「サクラは、なんて言われたんですか?」


 ———ドクン。
 心臓が脈を打つ。


 『あの預言が行われることは、・・・あってはならない。


 「あたし? あたしはねぇ・・・・・・」


 ———ドクン、ドクンッ。
 『もう二度と。———絶対に・・・!』


 「『暁の創造者』って言われたんだよ」


 ———ドク、ドク、ドクッ・・・・・・・・・。
 さあ、話そうか。高鳴る鼓動を押さえきれなくなる前に。


   * * * * *


 あたしが黒の教団に来たのは6歳のころ。そのとき、あたしには6歳以前のキオクが無かった。

 (おおきい・・・・・・・・・)

 教団本部を見て最初に思ったことだった。

 そしてそのまま、訳も分からず中へと連れて行かれた。門番の身体検査も受けたんだろうけど、記憶が無い。ただ覚えているのは、大人たちの、あたしを見る視線がとても怖かったということだけ。

 ヘブラスカの間行ったことは覚えている。白く、巨大な姿にとても驚いたけれど、大人たちが周りにたくさんいることをとても不思議に思っていた。今思えば、上層部の人たちだったんだろう。イノセンスをふたつも持つ、異例の存在の様子を確認するために。

 「20%・・・48%・・・76%・・・89%!」

 それが一つ目のイノセンス、「涙の音<ラクリマ>」とのシンクロ率。

 「2%・・・6%・・・9%・・・14%!!」

 ざわざわと大人たちが騒ぐのを感じた。二つ目のイノセンス、「月鎖<ツクサ>」とのシンクロ率は14%、だった・・・。そのころは、その数値がとても危険な意味を表しているとは知らず、ただ大人たちの反応に戸惑うばかりだった。

 すると、周りがいきなりシン・・・と静まりかえった。大人たちの視線はある一定の方向を見つめている。それをたどると、ヘブラスカに向けられていた。

 『ヘブラスカの「預言」はよく当たるんだよ』
 遠くから声が聞こえた。

 ヘブラスカが口を開く。それと同時に空気が張り詰められていくのを感じた。それは、幼いあたしでもわかるほどに。


 「———暁の創造者。お前は、大事な者を破滅へと導き、深淵の底へと落としていくだろう・・・」


 その言葉が放たれた直後、あたしは意識を失った。
 意識を失った理由は分からない。けれど幼いあたしはその意味を理解し、絶望したんだと思う。


 これから来る、未来に———。


  〆 8月17日