二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D・Gray-man 〜涙のメロディ〜 こめんと募集中! ( No.283 )
日時: 2012/09/19 21:11
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

  第19粒「土翁と空夜のアリア②」


 ———ガタコン、ガタコン。

 汽車が揺れ、あたしの体も揺れる。
 目的地はまだ先だ。
 窓辺に肘をつき顎をのせて、流れる外の風景を目で追っていく。

 「で、さっきの質問なんですけど」
 アレンが資料を読みながらたずねる。

 ここは汽車内。車掌さんに用意してもらった一室で、目的地・マテールへと向かっていた。

 「何でこの奇怪伝説と、イノセンスが関係あるんですか」
 神田がこっちを見てきた。けれど、

 「あたしは疲れたからパス。神田、よろしく」
 神田に説明を押しつける。だってめんどくさいし。

 めんどくせ・・・、と神田は呟くと
 「チッ。イノセンスってのはだな・・・」
 あれ、今この人「チッ」って舌打ちしたよね。

 「大洪水から現代までの間に、様々な状態に変化している場合(ケース)が多いんだ。初めは地下海底に沈んでいたんだろうが・・・———」
 そうして神田の説明は続いていく。

 「・・・ふわぁぁ」
 どうやらホントに疲れていたみたいだ。
 あたしはあくびをすると、眠気に誘われるまま、まぶたを閉じた。


   * * * * *


 アレンsaid


 「その結晶の不思議な力が導くのか、人間に発見され、いろんな姿形になって存在していることがある」
 神田はめんどくさそうに説明をしていた。
 「そしてそれは必ず奇怪現象を起こすんだよ。なぜだかな」
 「じゃあ、この『マテールの亡霊』はイノセンスが原因かもしれないってこと?」
 僕がそう聞くと「ああ」と神田は言い、続ける。
 「”奇怪ある場所にイノセンスがある“。だから教団はそういう場所を虱潰しに調べて、可能性が高いと判断したら俺達を回すんだ」
 そう言いながら資料をめくって見ている。

 奇怪・・・。そこに在るだけでも影響を及ぼす程のエネルギーがあり、『適合者』が持てば対アクマ武器とも成る・・・か。不思議なモノだな。

 そう思い、自分の左腕に宿るイノセンスを見つめた。
 ふと、隣を見るとサクラが小さな寝息を立てて眠っっている。

 イノセンスの存在が奇怪現象を起こしているんだとしたら・・・、マテールの亡霊って一体、何だ・・・?

 資料をめくって見ていってみると、
 「!」
 ふと、あるコトに気づく。
 「これは・・・」
 どうやら神田も気づいたらしい。

 「そうでございます」
 ドアの向こう側から声がした。
 「トマも、今回の調査の一員でしたので、この目で見ております」
 ドアの向こう側に立つファインダーのトマは続けた。


 「マテールの亡霊の正体は・・・」


   * * * * *


 「じゃあアレン、神田。またあとでね」
 「えっ、どこに行くんですか!?」

 眠りから目覚めたあたしは途中の駅で汽車から降り、別の所へ向かおうとしていた。

 「ちょっと、フランスに用事があるの。まあ、あとで追いつくからさ。詳しいことはトマに聞いてね」
 「あ、ちょっと———」
 そう言うアレンを振り切り、足を進める。向かう目的地は、


 ———フランス南部・アルラにある、小高い丘へ・・・ 


  〆 9月18日