二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜オリキャラ募集中&800越え ( No.103 )
- 日時: 2012/08/28 19:36
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)
- 参照: http://www3.atpaint.jp/kakiko/src/kakiko1346139135706.png/img/
☆番外編☆第十話 「さびしすぎる」
「あっ、みんなー! 風花ちゃん、きたよー!」
「え、ほんと!?」
「やったあ!」
みんなはバタバタと風花にかけてきた。風花の顔は、ぴくっとひきつる。
「ゲッ。」
「風花ちゃーんっ。」
みんなが風花にだきついたため、思いきりうしろにぶっ倒れた。風花がバタバタと暴れる。
「いたい、いたいよ、みんな!」
「あっ、ごめんね、風花ちゃん。」
みんなは、ゆっくりその場から退く。風花は大きくため息をついた。
風花は予定よりすこしおそく、十一日後に退院した。傷の回復はしたのが、心の回復がまだだと、トラブルにつながる可能性があるということで、心のケアもしたあと、退院したのだ。
「ふーちゃん!」
「えっ。」
慣れないよびかたにふりかると、輝がぱたぱたと手をふりながらはしってきていた。
「退院、おめでとう!」
「ありがとう、輝。じゃあ、いまから、遊ぼう!」
「いいね、いいね! 遊ぼう!」
風花は、輝のあとにつづいて、運動場にでた。
「おれ、道具もってくるね。」
「いいよ。風花もってくるから。」
「なにいってるの。風花はまだ背中、ケガしてるんでしょ? おれとってくるから。風花は、ブランコで休んでなよ。」
「うん……ごめんね。」
風花はもうしわけなさそうにそういい、輝が走っていくのを見ながら、ブランコに腰かけた。
☆
風花が家に帰ると、まったく反応がなかった。
「あれ? ママ、友撫ちゃん……?」
風花はおかしく感じ、ゆっくり、用心深く、家の中に入っていった。
いつも友撫と寝ている部屋に入ると、友撫が寝息をたてて、ベッドの上ですうすう寝ている。風花はあんどのため息をついた。
(よかった。友撫ちゃんが泣いてないから、なにかあったのかと思った……。)
リビングにいってみたが、だれもいない。あるのは、テーブルの上におかれた、一枚の手紙……。
『ふうかへ
しごとでおそくなるから、かれーをたべておいてちょうだい。じゃあ、おやすみなさい。』
(ママ、お仕事なんだ……。)
風花は、ちょっと意外に思った。だって、母が仕事をしているなんて、きいたことがなかったんだから。カレーを食べておいてということは、風花が起きている時間には帰ってこられないのだろう。
「……はあ。」
風花はため息をついて、カレーを食べる。
やっぱり冬なだけあって、かなり冷えていた。風花は食べはじめて間もなく、スプーンを手からはなした。
とてもじゃないけど、ひとりで食事なんて、したくない。さびしすぎる。
(パパ、ママ……。)
風花は食べ終えて立ち上がると着替え、ベッドに入り込んだ。友撫は、もう爆睡という感じだ。
「おやすみ、友撫ちゃん。」
風花は友撫の手をきゅっとつないで、目をつむった。
☆
風花はぱっちりと目をさました。もう朝だ。
「ふわあ……。」
風花はむくりと起き上がり、友撫を起こさないよう、そっと起き上がった。
リビングにくると、またテーブルの上に手紙がおいてあった。
『ふうかへ
きょうもおしごとで、はやくいきます。たなのなかにあるぱん、たべていいからね。』
「きょうも、また……。」
風花はため息をつき、たなからパンをだすと、イスに座って食べはじめる。だが、はっとした。
「ゆ、友撫ちゃんのお世話、どうするんだろう……。」
風花が心配をはじめた、そのとき。
「おい、だれかいるか?」
と声がして、がちゃりととびらがひらいた。そして、そこにいたのは……
「パ、パパ……。」
ここで、ひとつの避けられない事件が、おころうとしていた。