二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜キャラ人気投票&2000越え ( No.190 )
- 日時: 2012/12/17 18:29
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ftamISp/)
四章 。○秘密○。
一話 「ごほうび(シスコン)」
むりやりやらされることになった。
……でも!
「なんでいきなり、トロオドン三体!?」
「いけー! ユエー!」
いや、いけーじゃねえし!
(がんばりますか……。)
俺は明らかに「イヤです」な顔をしながら、トロオドンのボールめがけ、走った。
「ケエエッ。」
(え、なんかふしぎな鳴き声;; って、関係ないか。)
俺は、まず先頭の一体から、ボールを奪い、二体目を低位置回転で回避、三体目は、両腕の力で跳ね上がり、ラストに……
「フェイ!」
フェイにパス!
っしゃ! これで三体ぬき! ……って、あ。
「ギャアアッ。いでっ;;」
思いっきり背中を打ちました……;;
「ユエ、だいじょうぶ!?」
「う、うん、へいき……。いたいけど。」
「派手に打ったもんね。」
「ど派手に転んでたフェイくんにいわれるとは……遺憾じゃ。」
「え……;;」
「アハハッ。」
「にしても、すげえだな! おれ、二体もぬけねえんだぞ!」
「ど、どうも;;」
なんか、トーブって……。
にがてかも;;
「ん〜〜〜っ、もーうがまんできなーい!」
「!? ゆ、友撫ちゃん?」
「ちょっと、お兄借りますっ。」
「なんだと!? ちょ、おい、待て〜ッ!」
と、いっても友撫は、俺の胸元をガシッとつかむと、引きずって、むこうまで連れていった。う゛ー、そうとういたいんですけど。
「なんだよー、友撫ー。」
「あの話しっ。」
「え……;;」
いまのきいて、一発で思ったこと。
イヤだよ。
つか、友撫もあきらめわるいなあ。……地味にその胸ぐらをつかんでいる力も、女の子とは思えないくらい、ハンパなくいたいんですけど;;
やっと止まったと思うと、そこは、ひと目のつかない、岩の影。……あ、まちがえた。恐竜目……ん? なんか、これもちがう気がする……。むずかしいな。恐竜をひと扱いするの(どうでもいい)。
友撫は、胸元から手をはなし、クルリとこちらをふりかえった。そのときの友撫の顔は、いまにも泣き出しそう——……。
「友撫?」
「なんで!」
俺の肩は、ビクッとはねあがった。
「なんでっ。なんで、いきなりなの!? お兄、そういうことは、ちゃんと友撫に相談してから決めるって、約束したじゃん!」
「……なんだ、髪のことか。」
俺はてっきり、むかしの話かと思っていたので、ガクッとテンションが下がり、いっきに冷静になった。
「なんだって……!」
「べつに、それくらい相談しなくても、いいかなーと思って。自分の髪のことくらい、自分で決めてもいいだろ?」
「でも、その髪型……まるで……。」
友撫は、肩にかかるか、かからないかくらいになった、短い髪を見ていった。
「まるで、むかしのあのときみたいじゃないの……。」
「……むかしのことは、関係ない。ただ、友撫が、もう、母さんのあの長い髪を求めなくなった。それだけだ。」
「えっ!? ま、まさか、お兄……髪のばしてたのって、ぜんぶ、友撫のため……!?」
「……まあ、な。」
俺は友撫から、ふいと顔をそむけた。
「あ、そ、そうだ。」
「な、なんだよ。」
友撫は、すこしギクシャクしたこの雰囲気からのがれるためか、べつの話題を提示した。
「パパからね、電話があったの。」
「……父さんから?」
俺は、思わず顔をしかめる。
父さん……劉備たちの時代では、あんなこといってたけど、俺、あんまり信用してないんだよな。
「パパがね……無限牢獄行きのベータとアルファを連れもどしたら、お兄とフェイさんをつぶすって……。」
「……やっぱりか。」
まあ、そんなことだろうとは思ってたけど。
「もう、ベータはよんできたから、あとは、アルファを連れもどして、ふたりに忠実に従うアンドロイドをつくって、ふたりのもとに送りこめばかんぺきっていってた。」
「あの野郎……。」
俺に手をだすなら、まだいい。……つか、ふつうにかまわんのだけど。
でも、俺以外のヤツらに手をだすことは、ぜったいにゆるさねえ。
「わかった。ほら、友撫、いくぞ。……また、のばすから。」
「えっ?」
「の、のばすっていったの! ……がんばって、もっと母さんに似せられるように、がんばるよ。……友撫の、お母さんに。」
友撫の顔が、パアアッと明るくなり、そして、ボロボロとなみだを流しはじめた。
「ゆっ、友撫!?」
「だってぇ……お兄が髪のばしてたの、お兄のママに似せてるのかと思ってたの。でもっ、お兄……友撫のママに、似せるためだったんだね……。」
友撫は、ボロボロ流れてくるなみだをぬぐいながら、そういう。
ったく……。
「友撫、ほんっと、すぐ泣くよなあ。ま、それは、赤ん坊のころから、かわってねえけど。」
俺は、友撫のなみだを、ハンカチでそっとふきとり、友撫のあたまをポンポンと、軽くたたいた。友撫は、たたかれたところにそっとふれ、ゆっくりと、しだいに笑みをとりもどしていく。そして、ほおをきれいな桃色に染まらせた。
「ありがとう、お兄。」
友撫は、にこっとほほえんだ。ううっ! シ、シスターコンプレックスにとって、それはごほうびというべきものにございますぜ、友撫っ……!
「べ、べつにっ//」
「お? お兄、顔まっ赤〜ww」
「友撫っ。ニヤニヤするな!////」
「ふふふっ。いこっか♪」
友撫……// おぼえとけよ。